著者
齋藤 弘樹 川原 晋
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.5, pp.35-43, 2012-03

地域振興とスポーツ普及を一体として考える「ホームタウンスポーツ」が地域に果たす役割を考察するため、少年サッカーの普及を母体として設立されたプロクラブを有するという特徴を持つ東京都町田市のサッカーを事例として、次のことを明らかにした。まず、町田市の少年サッカーは、地域社会教育の一環として小学校教員や保護者等の地域コミュニティが支えて普及したこと、その指導者やOBを母体としてプロクラブFC町田ゼルビアが設立されたことで関係者に基本的理念が共有されている強み生かし、少年サッカーと共に、①子どもの教育の場の役割、②子どもの夢や目標を創出する役割、③地域の賑わいを創出する役割を果たしてきたことである。また、今後はそれらに加え、④地域コミュニティの再構築や郷土意識の醸成の役割への期待を受けていることも明らかになった。最後に、これまでに蓄積された潜在的人材や運営経験等を明らかにした上で、町田市ならではの「ホームタウンスポーツ」形成の方策を提言した。