著者
北 啓一朗 高瀬 義祥 齋藤 麻由子 黒田 萌 黒田 格 黒岩 麻衣子 山城 清二
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.147-156, 2021-12-20 (Released:2021-12-25)
参考文献数
18
被引用文献数
2

目的:医師が日常診療で方言をどのように捉え対応しているのかを量的・質的に検討する.方法:北信越地方のプライマリ・ケア医31名を対象にアンケート調査を行い,Steps for Coding and Theorization(SCAT)で質的に分析した.結果:71%は出身地以外で勤務していた.うち81.8%は患者が話す方言が理解できず困ったことがあり,36.3%が方言の意味を取り違えたことがあった.頻出方言として「ウイ」「テキナイ」が挙げられ,様々な症状と解釈されていた.SCATからは①症状を表す方言は文脈により語義が決定し次第に多義的になる②医師は方言を語り直しにより医学用語に変換している③医師は患者との心理的距離に応じて方言を用いていることが示唆された.結論:医師は方言の特徴を理解し状況に応じて適切に使うことで,患者とのコミュニケーションの質をより高められると思われる.