著者
Megumi Masuda Kazuya Murata Kimihisa Itoh Shunsuke Naruto Akemi Uwaya Fumiyuki Isami Hideaki Matsuda
出版者
和漢医薬学会
雑誌
Journal of Traditional Medicines (ISSN:18801447)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.47-54, 2011 (Released:2011-05-20)
参考文献数
22

高血圧や高脂血症では血液の流動性が低下しているとされており,ノニ(Morinda citrifolia)由来の健康食品はこれら生活習慣病の予防を期待され上市されている。しかし,これまでノニの血液流動性に対する作用は報告されていない。そこでノニの果肉,葉と種子の50 % EtOH エキス(MCF-ext, MCL-ext と MCS-ext)の血液流動性改善作用を検討した。血液流動性は,LPS 誘発 DIC 病態モデルラットを用い,MC-FAN を用いた血液通過時間を測定することにより評価した。その結果,MCL-ext 及び MCS-ext 投与群において血液通過時間が短縮され血流低下が抑制された。MCL-ext 及びその主要成分の rutin, ursolic acid と kaempferol-3-O-α-L-rhamnopyranosyl-(1→6)-β-D-glucopyranoside は,コラーゲン誘発血小板凝集を抑制し,MCS-ext 及びその主要成分の americanin A, 3, 3-bisdemethylpinoresinol と ursolic acid, 並びに MCL-ext はポリブレン誘発赤血球凝集を抑制したことからこれらの成分は MCL-ext と MCS-ext それぞれの血流低下抑制に寄与すると考えられる。次に,MCL-ext と MCS-ext 投与ラットにおける in vivo 線溶系活性を ELT (euglobulin lysis time) の測定により検討した。 各エキス投与群では対照群に比し ELT が短縮され, 線溶系活性化が認められた。 今回ノニの血液流動性改善作用が初めて明らかになり,MCL-ext は MCS-ext よりも強い血小板凝集抑制作用,in vivo 血流低下抑制作用, 及び in vivo 線溶系活性化作用を示した。