著者
比嘉 由紀子 Arlene Garcia-Bertuso 徳久 晃弘 永田 典子 沢辺 京子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.64, pp.48, 2012

デング熱は20世紀以降,流行が世界中で報告され,2億 5千万人以上が感染リスクを負っており,特に熱帯アジアでの流行が大きく,この地域に限っていえばマラリアを凌ぐ最も深刻な蚊媒介性ウイルス感染症となっている.フィリピンは東南アジアの中でも特にデング熱感染者数,死亡者数が多い国であるが,媒介蚊に関してはマニラを含む首都圏の情報が断片的にあるのみである.そこで,本研究では, 2010年 1月にルソン島において,古タイヤから発生するデング熱媒介蚊調査を行った.侵襲度を調べるとともに,野外にてピレスロイド系殺虫剤感受性簡易試験を行った. その結果,135地点から蚊の幼虫を採集した. 3,093個のタイヤのうち,775個のタイヤをチェックした. 有水,有蚊幼虫タイヤ数はそれぞれ 341(44.0%),127(16.4%)個だった. ネッタイシマカはルソン島に広く生息しており,ヒトスジシマカは北部と南部の一部にみられた.デング熱媒介蚊以外にネッタイイエカも採集された ネッタイシマカのほうがヒトスジシマカよりピレスロイド系殺虫剤に対する感受性が低下していることが示唆された.