著者
福崎 紀夫 原 宏 Ayers Gregory P.
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.35-41, 1999-01-10
被引用文献数
5

降水試料を, (1)無処理一室温, (2)ろ過(洗浄済みの孔径0.45μmメンプランフィルター使用)一室温, (3)チモール添加(40mg/100mL)一室温, (4)無処理一冷蔵(4℃), (5)ろ過(同上)一冷蔵の各方法で21日〜59日間保存しH^+(pH)変化および溶存成分の濃度を比較した。H^+(有機酸)やNH_4^+の保存には, チモール添加が最も有効である。冷蔵保存がこれに次ぎ有機酸以外の主要な成分の保存に, また, ろ過は黄砂現象時のように懸濁物質が多い場合カルシウム化合物などの溶出を防ぐために有効な保存方法と考えられる。これらの結果から, 降水時開放型捕集器を用いて降水試料を捕集する場合であっても冷蔵保存できない場合や有機酸を測定対象項目に含める場合には, 試料捕集ビンにあらかじめチモールを入れて降水を捕集し, 試料を実験室に持ち帰ってから懸濁物質およびチモールの残結晶をろ別し分析時まで冷蔵保存することが推奨される。