著者
二文字 理明 INGEMAR Emanuelsson JAN-AKE Klason BENGT Eriksson
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

スウェーデンにおけるインクルーシブ教育はノーマライゼーション思想に発する「人間としての尊厳」および「すべての者のための一つの学校」という理念を掲げて展開されてきた。「場の統合」を経て「個の統合」を実現してきた。しかし、1990年時点でも「個の統合」の実現の割合は、養護学校の全児童生徒の8.7%に留まる。1990年以降は、社会民主労働党の弱体化と連動して、インクルーシブ教育を支持する言説にも陰りがみられる。カールベック委員会の基本的な構想の破綻はその象徴であろう。理念の標榜と、学校における障害者の処遇の実態との乖離に悩む現実が改めて明らかになった。