著者
林 春男 河田 恵昭 BRUCE Baird 重川 希志依 田中 聡 永松 伸吾
出版者
京都大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2005

平成17年12月10日〜18日、平成18年3.月18日〜27日の2回に渡って、1)米国の危機管理体制、2)被害の全体像、3)災害対応、4)復旧・復興に関する現地調査を行い以下のような知見を得た。調査対象機関は以下の通りである。(1)連邦:連邦危機管理庁・米国下院議会、(2)ルイジアナ州:連邦・州合同現地対策本部、州危機管理局、ルイジアナ復興局、(3)ミシシッピ州:連邦・州合同現地対策本部、州危機管理局、州復興担当事務所、(4)ニューオリンズ市:災害対策本部、都市計画局、(5)レイクビューコミュニティー、(6)在ニューオリンズ日本総領事館。(1)3つの災害:ハリケーン・カトリーナ災害として一括りで語られている災害は1)ハリケーン・カトリーナ、2)ニューオリンズの堤防決壊、3)ハリケーン・リタという3つの事案の複合災害として捉える必要があり、2)の事案は想定外であり、その事が今回の災害対応に関する大きな批判に繋がっている事が明らかになった。(2)危機対応システム:2001年の同時多発テロ以降の危機管理システムの見直しによりDHSの外局とされたFEMAの災害対応の失敗が大きな問題となっているが、その一方で新たに導入されたNRP(国家危機対応計画)、NIMS(国家危機対応システム)が上手く機能した。(3)応急対応期の活動:NRPに規定されるESF(危機支援機能)に基づき自治体の災害対応支援が行われた。被災者に直接支援を行うIndividual Assistance並びに被災自治体に対する支援を行うPublic Assistance共、現地に設置されたJoint Field Officeにおいて連邦政府直轄で業務が行われた。(4)復旧・復興期の活動:ルイジアナ州は復興事業を行う新たな機関Louisiana Recovery Authorityを設置し、復興計画の策定を行っており、住宅再建支援に最大15万ドルが支出される事がほぼ決定された。