著者
小田 隆史 池田 真幸 永田 俊光 木村 玲欧 永松 伸吾
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.199-213, 2023 (Released:2023-07-08)
参考文献数
34

2022年度から必履修化された高等学校「地理総合」の柱となる大項目「GIS」や「持続可能な地域づくり」での学習を通じて,学校教育における防災教育の充実が期待される一方,授業を担う教員の防災に関する知識や授業指導の力量不足が懸念されている.そこで,地理学と防災関連分野の研究者らが討議を重ね,学習指導要領の中で扱われている防災に関連する解説・内容を「知識」「技能」「思考力・判断力・表現力」別に分析し,近年頻発する洪水・土砂災害を事例としたウェブGISを活用した教員向けの防災教育の研修プログラムの開発を目指した.学習指導要領から防災に関わる内容や流れを整理した上で,教員自身が防災の専門的知見を理解し,授業づくりの前提となる力を多忙な教員が短時間で身に付けられる教員研修のためのプログラム案を作成した.具体的な評価の検討は今後の課題だが,試行は時間内に収まり,学習目標に沿った気づきや発言が得られた.
著者
池田 真幸 永田 俊光 木村 玲欧 李 泰榮 永松 伸吾
出版者
一般社団法人 地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文集 (ISSN:13452088)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.103-111, 2021-11-01 (Released:2022-03-03)
参考文献数
18
被引用文献数
1

In this study, we collected disaster prevention education materials from all over Japan focusing on "guidance plans," and created 2,217 data with variables such as target disaster, subject, school type and grade, and learning contents. The data showed that current disaster prevention education programs are developed mainly for elementary and junior high schools, and that there is a lack of programs for learning about meteorological disasters and for understanding the phenomena and mechanisms of disasters. In addition, cluster analysis using variable of correspondence to the Courses of Study showed that the disaster prevention education plans could be classified into three perspectives and eight clusters, providing suggestions for the systematization of disaster prevention education programs in the future.
著者
河田 恵昭 岡 二三生 片田 敏孝 福和 伸夫 田村 圭子 鈴木 進吾 今村 文彦 目黒 公郎 牧 紀男 浦川 豪 中林 一樹 永松 伸吾 高橋 智幸
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

本研究では、逆転の発想に基づき、加害側の災害の立場から、南海トラフ巨大地震や首都直下地震によって、過酷事象が発生し、未曽有の被害をもたらすにはどのように“人間社会を攻めればよいのか”を考究して、巨大災害が起こった時の現代社会の様々な弱点を見出し、その中で被害が極端に拡大する可能性のある「最悪の被災シナリオ」被害を軽減するためには、新たに縮災を定義し、減災だけでなく、災害による被害が発生することを前提にして、すみやかに回復するという新たな概念が必要であることを示した。そして、これを実現するには、防災省を創設し、国難災害が起こるという前提に立って、日常的に準備する必要があることを明らかにした。
著者
林 春男 河田 恵昭 BRUCE Baird 重川 希志依 田中 聡 永松 伸吾
出版者
京都大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2005

平成17年12月10日〜18日、平成18年3.月18日〜27日の2回に渡って、1)米国の危機管理体制、2)被害の全体像、3)災害対応、4)復旧・復興に関する現地調査を行い以下のような知見を得た。調査対象機関は以下の通りである。(1)連邦:連邦危機管理庁・米国下院議会、(2)ルイジアナ州:連邦・州合同現地対策本部、州危機管理局、ルイジアナ復興局、(3)ミシシッピ州:連邦・州合同現地対策本部、州危機管理局、州復興担当事務所、(4)ニューオリンズ市:災害対策本部、都市計画局、(5)レイクビューコミュニティー、(6)在ニューオリンズ日本総領事館。(1)3つの災害:ハリケーン・カトリーナ災害として一括りで語られている災害は1)ハリケーン・カトリーナ、2)ニューオリンズの堤防決壊、3)ハリケーン・リタという3つの事案の複合災害として捉える必要があり、2)の事案は想定外であり、その事が今回の災害対応に関する大きな批判に繋がっている事が明らかになった。(2)危機対応システム:2001年の同時多発テロ以降の危機管理システムの見直しによりDHSの外局とされたFEMAの災害対応の失敗が大きな問題となっているが、その一方で新たに導入されたNRP(国家危機対応計画)、NIMS(国家危機対応システム)が上手く機能した。(3)応急対応期の活動:NRPに規定されるESF(危機支援機能)に基づき自治体の災害対応支援が行われた。被災者に直接支援を行うIndividual Assistance並びに被災自治体に対する支援を行うPublic Assistance共、現地に設置されたJoint Field Officeにおいて連邦政府直轄で業務が行われた。(4)復旧・復興期の活動:ルイジアナ州は復興事業を行う新たな機関Louisiana Recovery Authorityを設置し、復興計画の策定を行っており、住宅再建支援に最大15万ドルが支出される事がほぼ決定された。