著者
C. JOHN M.D. NORMAN 高場 利博 桜井 靖久
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.197-203, 1975-08-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
1

我々は10年来原子力人工臓器の研究に携わってきたが, 原子力左室補助ポンプの 2種類のシステムがようやく仔ウシによる生体実験の段階に達した. 二つのシステムは120g, 1600キューリーのPu-238 (酸化プルトニウムの形) を含有する核熱源を用いている. 第一のものは, 電子的に制御された, 弁もシールもない蓄熱式往復エンジンで, 制御のための情報は, ホール効果型センサーによって得られる. 第二の左室補助システムはポンプ駆動用の高い水圧に変換されるガス高圧をつくるのに核崩壊によって生じる熱を利用している. エンジン効率は7~16%に達し,ポンプ効率の計測値は85%が得られているこの両システムを生体の左心室といかに同期するかが解明されてきた. 初期の短期間 (175時間) の埋込み実験によって本法の可能性が明らかにされ, ンステムの改良と平行した生体実験の長期間実施が期待されている. しかしなお, 効率向上, 信頼性向上, 性能の向上, 小型化など多くの懸案が残されている.