著者
玉川 安騎男 CADORET Anna Gwenaelle-Lu CADORET Anna Gwenaelle-Lucile
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

与えられた有限群と素数の組に対し、その普遍フラティニ被覆の標準的な商群の系に付随してフルヴィッツ空間(=射影直線の分岐ガロア被覆のモジュライ空間)の射影系が定まるが、その有理点に関するM. Friedのモジュラータワー予想は基本的である。この予想へのアプローチの一環として掲げた研究目的の内、本年度は、「1、モジュラータワー予想とアーベル多様体のねじれ点の普遍的限界の関係の精密化」に関して、特別研究員と研究代表者の共同研究が大きく進展した。特に、元のモジュラータワー予想で分岐点の数が4以下の場合を肯定的に解決することができた。この証明の鍵となったのは、次の幾何的命題である。Sを標数0の体上の代数曲線、AをS上のアーベルスキームとし、Aの生成ファイバーは0でないアイソトリビアルな部分アーベル多様体を含まないものと仮定する。このとき、与えられた自然数gと素数pに対し、次の条件を満たす自然数N=N(A,g,p)が存在する:Aの位数p^nの点vに対し、n>Nならばvに付随するSの被覆の種数はgより大きい。以上の結果については、特別研究員と研究代表者の共著論文"Uniform boundedness of p-torsion of abelian schemes"の第一稿が既に完成している。なお、研究目的の内「2、フルヴィッツ空間の点の"base invariant"のモジュラータワー予想への応用」については、特別研究員と研究代表者の共著論文"Stratification of Hurwitz spaces by closed modular subvarieties"を平成18年8月に完成し投稿中である。