著者
Chotechuen Somsong Watanesk Orapin Chitrakon Songkran
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 = Breeding research (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.61-64, 2009-06-01
被引用文献数
1

タイは513,115km2の面積と約6500万人の人口を持つ国であり、主要な産業は農業である。76の州に分かれ、それらは北部、北東部、中央部、南部の4つの地域グループに分類されている。ほとんどの地域は熱帯に属し、2つの季節を持つ。暖かく多雨で曇りがちの南西モンスーン(5月中旬から10月まで)と、涼しくて乾燥した北東モンスーン(11月から4月中旬まで)である。しかし南部の地峡地帯はいつも高温多湿である。極めて多様な種類の農作物が栽培されているため、農業が行われている地域ではさまざまな生態型が見られる。いくつかの在来種の作物、なかでも特にコメが、かつて栽培されていたし、現在も栽培され続けている。コメの在来種としてはPlai Ngahm、Nahng Mon、Leuang Pratew、Jek Chuey、Sang Yodなどがある。農業生態学的な分類方法によると、タイの国土は4つの生態系に分けられる。つまり灌漑農耕地域、天水農耕が行われる低地、地下水利用地域、そして高地である。コメの栽培が一番多いのは天水農耕が行われる低地であり、次いで灌漑農耕地域、地下水利用地域、高地が続く。コメ栽培が行われる地域の80%以上が天水農耕地域にあり、そこではモンスーンの降雨が唯一の水源であるため、年に一度、雨季にだけコメが栽培される。残りの20%以下の土地で灌漑農耕が行われており、そこでは灌漑用水のおかげで雨季だけでなく乾季にもコメが栽培されている。