著者
丁 可 Ding Ke
出版者
日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アジア経済 = Quarterly journal of Institute of Developing Economies Japan External Trade Organization (ISSN:00022942)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.10-33, 2015-03

本稿では,日本的生産システムの海外展開の視点から,日系中小サプライヤーの中国市場開拓の現状を検討した。現時点で,中小サプライヤーの大多数は依然として日系企業を中心に取引を展開している。しかし,非日系向けの販売に成功した中小企業も出現するようになり,日本的生産システムと他国の生産システムが徐々に融合し始めている。非日系企業と取引を展開する中小サプライヤーは「国際派」と「現状維持派」に分類されるが,「国際派」のほうは経営の現地化を積極的に進めているだけでなく,日本的取引慣行の強みも発揮している。その過程でさまざまな技術情報が顧客のほうへ流れるようになり,その成長に寄与している。