著者
大嶺 聖 EDWARDRAJA Chellaiah EDWARD Raja
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究では,有用微生物による地盤環境改善技術の適用性を検討した。様々な地盤環境問題が生じているが,できるだけ自然の材料を活用し,低コストでかつ環境負荷の低減を図ることにより,アジア地域へ広く適用することのできる持続可能な技術の開発を目指している。その中で,バイオレメディエーションによる汚染土および石炭灰の環境負荷低減技術の適用性を検討した。得られた結論は以下のとおりである。1) ホウ素,フッ素,ヒ素,セレンなどに耐性のある微生物を同定することができた。これらの微生物によって重金属類の濃度を低減させることができる。2) 石炭灰については,乳酸菌・酵母・納豆菌などの身近な微生物を加えることにより,六価クロムの溶出量を低減させることができる。3) 石炭灰の埋立地から採取したサンプルからホウ素に耐性のある微生物を分離・同定し,溶液中のホウ素の濃度を低下させることができた。4) 堆肥に含まれる耐塩性試験により,16~18%程度の塩分濃度でも増殖できる数種類の好塩菌が存在することが確認できた。また,好塩菌堆肥を塩害土壌に混合することにより塩類濃度を約1ヶ月で4割程度低減できることを示した。