著者
齋藤 和春 渡辺 邦夫 GAUTAM Mahesh
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.170-180, 2001-08-10
被引用文献数
2

本研究は,青函トンネル掘削時の地質および湧水量データを用いて,統計解析的手法により岩盤割れ目とトンネル湧水量との関係を明らかにするものである.本報告では湧水量と地質的要因との相関を調べ,さらに数量化理論とニューラルネットワーク(ANN)解析による湧水の地点と量の予測を試みた.その結果,数量化理論では定性的要因をも考慮して湧水量に与える地質要因の影響をある程度調べることができたが,予測精度では実用上問題もあった.それに比べニューラルネットワーク解析では予測も実用的に高いことがわかった.とくに,湧水量の再現性は極めて高い結果を得た.しかし,局所的な突発湧水についての予測は確度が低く,また定性的要因をいかにして定量的に評価してパラメータとして扱うかなどについての課題を示した.