著者
関 陽太郎 平野 富雄 渡辺 邦夫
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.82, no.7, pp.269-279, 1987-07-05 (Released:2008-08-07)
参考文献数
9
被引用文献数
4 6

Rock-cliff Budda sculptures of Odaka Town, Fukushima Prefecture, Japan were carved about one thousand years ago on the Neogene dacitic tuffaceous sedimentary rocks. These sculptures have been badly decayed by (1) the formation of scabs composed chiefly of gypsum, epsomite and thenardite with subordinate amounts of kogarkoite, langbeinite, zoherite, hydroglauberite, starkeyite, jurbanite, loeweite, hexahydrite, alunogen, mirabilite, glauberite, syngenite, hemihydrite and sylvite at the surface of the sculptures by the evaporation of groundwater percolated through the voids and joints in the Neogene volcanogenic sedimentary rocks and (2) the exfoliation of the these scabs and near-surface part of Neogene sedimentary rocks, particularly due to the heaving during the freezing-thawing cycle of seeped groundwater in winter season.
著者
藤井 幸泰 渡辺 邦夫 村上 和哉
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.258-264, 2007-12-10
被引用文献数
4

古シルクロードに位置するタジキスタン共和国アジナ・テパ仏教遺跡の修復・保存活動が,ユネスコ文化遺産保存日本信託基金によって行われている.2006年の活動の一環として,遺跡の修復・保存を目的とした現況の記録作業が行われた.記録作業には写真測量技術を適用し,倒壊の危惧される六つの壁の三次元可視化と,遺跡の地形図作成が行われた.その結果,写真測量技術が現況の記録および修復プランの計画に大変有効であることが明らかとなった.壁の三次元可視化は,断面線などから浸食の状況を把握し,倒壊の危険性の客観的判断に利用できる.また精度の高い地形図は,修復プランの計画や,今後の経過報告として利用される予定である.
著者
齋藤 和春 渡辺 邦夫 GAUTAM Mahesh
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.170-180, 2001-08-10
被引用文献数
2

本研究は,青函トンネル掘削時の地質および湧水量データを用いて,統計解析的手法により岩盤割れ目とトンネル湧水量との関係を明らかにするものである.本報告では湧水量と地質的要因との相関を調べ,さらに数量化理論とニューラルネットワーク(ANN)解析による湧水の地点と量の予測を試みた.その結果,数量化理論では定性的要因をも考慮して湧水量に与える地質要因の影響をある程度調べることができたが,予測精度では実用上問題もあった.それに比べニューラルネットワーク解析では予測も実用的に高いことがわかった.とくに,湧水量の再現性は極めて高い結果を得た.しかし,局所的な突発湧水についての予測は確度が低く,また定性的要因をいかにして定量的に評価してパラメータとして扱うかなどについての課題を示した.
著者
渡辺 毅 浜田 穣 渡辺 邦夫 WATANABE Tsuyoshi
出版者
椙山女学園大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

スラウェシマカクに関する調査研究は,日本の調査隊によって,1981年以来継続されてきた。当初の問題点は,いくつの種が分布しているのかにあり,形態学的・行動学的・生化学的・遺伝学的研究の総合の結果,7種であるとの結論に達っした。ところが,オ-ストラリアのGroves(1984)と本研究分担者渡辺(1990)によって,雑種の存在が観察・記載され,新たな問題点が発生するに至った。自然条件下での雑種形成に関する研究が必要となり,本研究が計画されたのである。今回の研究は,以下の3点にわたっておこなわれた。1)スラウェシ島中央部に生息するMacaca tonkeanaと南東部のM.ochreataの分布境界域を確定するため,現地を踏破した。自動車を借用して現地を移動しながら,生息するサルたちの直接観察と,現地住民にペットとして飼育されているサルたちの観察調査により,捕獲地点を特定し,また雑種の有無,その程度を記載することで,分布境界線と雑種のゾ-ンを決定していった。今回の調査により,境界線の南西域にあたる100km相当が確認され,雑種と思われる個体の観察もなされた。調査期間の最後に,分担者の渡辺と浜田の2名は,最南西部のM.ochreataとM.brunescensの分布境界域で同様の調査をおこなったが,日数の関係上,将来への予察的調査となった。2)スラウェシ島南部のカレンタ自然保護区に生息するM.maurus(ム-アモンキ-)の1群が餌づけられていて,長期継続観察が可能となっている。この群れは,分担者渡辺によって個体識別が進められ,今回現地参加の松村が長期観察にとりかかった。研究の目的は,社会構造の解明,行動特性の解明にあるが,長期観察により,繁殖の季節性,個体の成長パタ-ン,個体の移出入などが明らかになりつつある。スラウェシマカク7種のうちで,もっとも特殊化の進んだ種は,M.nigra(クロザル)とされているが,この両種の詳細な行動比較は,スラウェシマカクの種分化を解明する上での,キ-ポイントの一つとなっている。3)スラウェシ島の最北端に生息するクロザルは,激しい人為的環境破壊により,分布が寸断され,存続が危ぶまれている。ハルマヘラ群島の一つであるバチャン島にクロザルが生息しているとの情報があり,その生息状況を調べるために,分担者の浜田がバチャン島へおもむいた。アプロ-チに日数のかかる離島であるが,調査の結果,数千頭のクロザルが生息しており,島民のサルへの態度も敵対的ではないため,クロザルの種の保存や今後の研究にとって良好のフィ-ルドであることが判明した。今回の調査により,スラウェシ島において自然条件下で雑種が形成されていることは,ほぼ間違いなく確認された。しかも雑種が1代限りでないこと,つまり妊性のある雑種が形成されていることも確実だ。これは,いわゆる生物学的種(biological species)の定義に反する。それならば,雑種形成をとげている両種は,別種ではなく同種と分類しなければならないのだろうか?スラウェシ島以外の地域において,自然条件下での雑種が存在しているのだろうか?アフリカのヒヒ類とグエノン類,南米のオマキザルなどで雑種の存在が報告されている。これらすべてをそれぞれ同種に変更すれば,生物学的種と矛盾はしなくなる。しかし,われわれは,形態も行動も社会も異なる2種の霊長類を同種と認めるわけにいかない。ここで生起する大問題は,「種とはなにか?」である。これまでの研究成果をふまえてのわたしの見解は,ヒトという動物が一般の動物とややおもむきを異にしているのと同様に,霊長類というヒトも含む分類群もまた,他の動物とやや異なった存在ではないか,とするものだ。このような見解は,当然のことながら,激しい反論を呼ばずにはいられない。近々,発表する予定のこの見解が議論を惹起し,霊長類学,生物学の発展の一助になれば,と期待している。
著者
渡辺 邦夫
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

アリストテレスの倫理学と心の哲学が心身関係論を回避せず積極的に荷担したことを示した。かれは徳の説明において感情の状況に応じた「量」にかかわる主張を提出し、状況に応じた直観的認知としての実践的知性から行動が起こると説明したと解釈した。意志の弱さの問題をめぐってもかれは心身因果にかかわる解明を遂行した。心の哲学ではアリストテレスが、欲求を補佐して行動を生む認知の問題に取り組み、行動における人間の認知を、規範という視点から考察しつつ、心身一元論を守ったと解釈した。またかれはスキルや知識や道徳性の学習成果が付帯的知覚としても知性認識としても現れると考えており、知性主義的で一元論的であったと解釈した。
著者
渡辺 邦夫 星野 吉昇
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.60-70, 1980-06-30
被引用文献数
1 1

The open-cracks in large rock mass play an important role in flowing ground water. The main purpose of this paper is to present the method used to estimate the permeability coefficient of natural open-crack from the distribution of its opening width. We studied on this problem by following procedures. (1) The numerical method to describe the approximate flow behaviors in open crack was introduced on the basis of Poiseuille law. (2) Some permeability coefficients of natural open-cracks were calculated from these distributions of opening width by this method. (3) These calculated values were compared with the values measured by the permeability test apparatus respectively. As the result, it was found that the permeability coefficient of natural open-crack can be well estimated by this numerical method.
著者
渡辺 邦夫 長田 昌彦 小口 千明
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.15-17, 2007-03-01
被引用文献数
2

rights: 社団法人地盤工学会rights: 本文データは学協会の許諾に基づきCiNiiから複製したものであるrelation: IsVersionOf: http://ci.nii.ac.jp/naid/110006239355/Arg-e-Bam that was a UNESCO world heritage in Iran was caused serious damage by an earthquake on 26 Dec. 2003. Restoration and preservation of this heritage is now going on as an international cooperation. The site works of the restoration and preservation are reported with a brief explanation on the Japanese efforts in the international cooperation. It is proposed that geotechnical aid is required to the restoration and preservation since most of structures in Arg-e-Bam are made of mud bricks.
著者
渡辺 邦夫
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.33-45, 1982-03-30
被引用文献数
3 1

Proper idealization of geologic succession at the depth of Neogene sedimentary basin is indespensable to solve many problems in the field of Engineering Geology such as land subsidence, groundwater flow and stress distribution around deep excavation. A new procedure to idealize the succession by means of Markov matrix and its entropy of stratigraphic columns obtained from bore hole logs is given. As an application of this procedure, Markov matrix and its entropy are calculated from many stratigraphic columns obtained from two core boring logs and non core boring logs of over 300 in the east plain area of Saitama prefecture, Japan, with following results. (1) Markov matrix and its entropy represent well the regularity in the stratigraphic columns. (2) Some regional differences of the regularity are found in the area, and these differences seem to be caused by the regional variation of sedimentary environments. (3) Geologic succession in this area can be simply idealized as the alternation of some thick layers of coarse sediments and those of fine sediments. It has been clear that the procedure is quite useful to idealize the geologic succession under Neogene sedimentary basin.