著者
島袋 純 我部 政明 高良 鉄美 Shimabukuro Jun Gabe Masaaki Takara Tetsumi
出版者
島袋純
巻号頁・発行日
2006-03

平成15年度~平成17年度科学研究費補助金(基盤研究(B)(2))研究成果報告書 研究概要:本研究は、地域レベルのガバナンスを開放的な体系と規定しグローバル化及び国際的な地域統合との相互作用の文脈において理論的に把握することを試みるものである。沖縄の事例を中心に国際比較研究を通じて一定のモデル構築を目指した。まず、グローバル化とは何か、地域、特に沖縄への影響という視点からグローバリゼーションの中身を検討し、操作可能性を高めるための概念的な整理を行った。グローバル化が沖縄の地域経済社会に及ぶ影響の把握(地域の歴史的・文化的な価値=ローカル・スタンダードの変化、社会経済活動への影響、市民社会からの問題解決主体の登場など)し、地域政府による反応的政策形成(日米安全保障体制の変容が憲法システム及び中央地方関係に及ぼす影響、地方政府による脱軍事的政策の追求、独自課税制度や環境基準設定、新たな自治・協働システム形成の試みなど)を分析検討した。 2年目にはグローバル化と地域経済社会および地域政府との相互関係に焦点を当てたケース・スタディを行った。諸外国の地域政府(島嶼政府)、あるいは島嶼国家との研究に比重をおいた。グローバリゼーションの進む近年、島嶼地域のガバナンスがいかなる変容を引き起こしているかについて、それぞれの国を専門とする多くの研究者を招聘し、研究会を重ねた。04年12月には、英国(シェフィールド大学)、台湾(成功大学)、韓国済州島(済州大学)、オーストラリアタスマニア島(タスマニア大学)から、それぞれこの研究分野の第一人者をお招きして、国際的なワークショップ(英語)とシンポジウム(日本語)を行った。 3年目の本年は、特に国内の政治及び自治の変容をテーマとして、北海道大学教授の山口二郎氏と、佐賀県知事の古川康氏をお招きし、シンポジウム「ガバナンス変容の中の沖縄-グローバル化と自治の新たな関係-」を設定、その成果を報告書における論文作成に活用した。最終報告書には、以上の成果により、国際的な市民社会との連帯にもとづく、地域社会の連帯・協力・協調を旨とする「社会再生型ガバナンスモデル」が提案された。 研究概要:After the end of the cold war, so-called "globalization" became the term presents the state of the international relations and the world. Globalization implies global diversity. We would like to focus on the regionalization and regional integration facilitated by economic interdependence, because today's regionalization is a phenomenon which profoundly related to the globalization. On The other hand, globalization and international regionalization made a strong impact on the national governance and sub-national revel : regional governance within each nation-state. Democratization, decentralization and deregulation are taking place the government systems and now the term "'Governance" became the word for describing currently dominant political systems in the industrialized countries. The research focus on the changes of the national and regional governance under interdependence in East Asia, and also focus on the impact of changes on the national governance, and on the East Asian regional governance and Globalization. Economic and military globalization dominated by America was the big trend in the 90's. The G8 Summit was planned to be held in Okinawa in order to define Okinawa as a keystone of this trend. On the contrary, Anti-American-led-globalism also became globalized. Okinawan civil society became globalized too. A global civil society is rising. Okinawan politics have to be analyzed in this global context. And changes of governance of Okinawa have to be reshaped, more by the Okinawan people. In other words, development of more democratic governance is inevitable. 未公開:P.67以降(論文別刷のため)
著者
藤田 陽子 我部 政明 前門 晃 桜井 国俊 Fujita Yoko Gabe Masaaki Maekado Akira Sakurai Kunitoshi
出版者
藤田陽子
巻号頁・発行日
2015-03

2012(平成24)年度~2014(平成26)年度(*2015(平成27)年度期間延長)科学研究費助成事業基盤研究(B)成果報告書 / 研究概要:本報告書は,3年間にわたる事業の成果としてまとめたものである。できる限り多角的に基地環境問題を捉えるため,研究チームのメンバーに加え,本研究課題の研究協力者にも論文執筆を依頼した。以下,掲載論文を簡単に紹介する。我部論文「化学兵器の沖縄からの撤去をめぐる日米琉関係」は,1971年の米軍の沖縄からの化学兵器撤去に関する米国政府等の意思決定過程を中心に,日米両政府聞における政治的思惑や,沖縄側の葛藤などについて分析している。前門論文「沖縄県における米軍基地と赤土流出」は,自然地理学の立場から,沖縄における米軍基地からの赤土流出の現状についてキャンプ・ハンセン周辺を中心に分析し,基地内裸地からの流出量が桁違いであることを指摘し,問題解決の必要性を訴えている。桜井論文「返還米軍基地跡地の浄化に関する日韓比較」は,本研究課題期間における複数回にわたる韓国調査に基づいている。同じように在外米軍基地の返還跡地の汚染や浄化の問題を抱えながら,土地所有形態の違いや地位協定の内容により大きく異なる状況にある沖縄と韓国を比較し,問題の根底を明らかにしている。川瀬論文「米軍基地を維持するためにどれだけ財政負担しているか」では,思いやり予算や特定防衛施設周辺整備交付金等,米軍基地を巡る様々な予算について客観的な財政分析を行い,それらの目的や根拠の不明瞭性を明らかにするとともに,米軍基地を沖縄に置き続ける理由となっていることを指摘している。林論文「米軍基地返還の意義」は,横田基地の軍用機騒音による社会的費用を推計するとともに,跡地利用推進特措法の役割の検証,そして軍事基地環境問題を考える上で,従来の経済計算の不備を指摘,「生の破壊を考慮に入れた経済学」の必要性を論じている。 Smith論文"Trouble in Paradise?US Military Forces Abroad,American Environmental Law,and the Law of Jurisdiction"は,在外米軍基地所在地での米国環境法の適用について論じている。たとえば普天間飛行場の辺野古移転に関しては,仮に米国連邦絶滅危慎種法等がされるとするならば,移転計画自体が中止されなければならないとしている。Davis論文"When the Bombs Stop: Environmental Issues after Military Base Closures"では,グアム,ハワイ,ヴィエケス島(プエルト・リコ)の各地における米軍基地による環境問題が地域の自然や社会に深刻な影響を与え,また基地使用終了後も同エリアが自然保護区に指定されるなどしてその歴史が隠されてしまう事実を示し,こうした現状は一種のコロニアリズムであるとも指摘している。これらの研究論文を通して,沖縄を中心に,韓国,ハワイ,グアム,ヴィエケス島といった同様の問題を抱えつつもその背景や現状を異にする複数の事例を比較することが可能となった。今後は,植民地支配や地域併合などの歴史的背景,地位協定に規定されている費用負担責任やホスト国の権限の差異,あるいは現在直面している安全保障上の問題との関連などに関するさらなる検証と,問題解決に向けたより具体的な提言が求められる。本報告書はその作業に向けたスタートに立つものであり,また本課題による研究活動が軍事基地環境問題を科学的・客観的に考察するための学術連携の基盤をなすものと考える。