著者
野波 寬 土屋 博樹 桜井 国俊
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.40-54, 2014 (Released:2014-08-29)
参考文献数
36
被引用文献数
2

正当性とは,公共政策に対する自他の決定権について,人々が何らかの理由・価値をもとに評価する承認可能性と定義される。本研究では沖縄県における在日米軍基地政策を取り上げ,これに深く関わる当事者と関与の浅い非当事者との間で,NIMBY問題における政策の決定権をめぐる多様なアクターの正当性とその規定因を検討した。正当性の規定因としては信頼性と法規性に焦点を当てた。当事者は精密な情報処理への動機づけが高いため,信頼性から正当性評価への影響は,評価対象のアクターごとに変化すると考えられる。これに対して非当事者は,各アクターの正当性を周辺的手がかりにもとづいて判断するため,一律的に信頼性と法規性が規定因になると仮定された。これらの仮説は支持されたが,その一方で非当事者ではNIMBY構造に関する情報の獲得により,自己利益の維持を目指して特定アクターの正当性を承認する戦略的思考の発生が指摘された。以上を踏まえ,公共政策をめぐるアクター間の合意形成を権利構造のフレームから検証する理論的視点について論じた。
著者
野波 寬 土屋 博樹 桜井 国俊
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.40-54, 2014

正当性とは,公共政策に対する自他の決定権について,人々が何らかの理由・価値をもとに評価する承認可能性と定義される。本研究では沖縄県における在日米軍基地政策を取り上げ,これに深く関わる当事者と関与の浅い非当事者との間で,NIMBY問題における政策の決定権をめぐる多様なアクターの正当性とその規定因を検討した。正当性の規定因としては信頼性と法規性に焦点を当てた。当事者は精密な情報処理への動機づけが高いため,信頼性から正当性評価への影響は,評価対象のアクターごとに変化すると考えられる。これに対して非当事者は,各アクターの正当性を周辺的手がかりにもとづいて判断するため,一律的に信頼性と法規性が規定因になると仮定された。これらの仮説は支持されたが,その一方で非当事者ではNIMBY構造に関する情報の獲得により,自己利益の維持を目指して特定アクターの正当性を承認する戦略的思考の発生が指摘された。以上を踏まえ,公共政策をめぐるアクター間の合意形成を権利構造のフレームから検証する理論的視点について論じた。
著者
桜井 国俊 Sakurai Kunitoshi 沖縄大学人文学部
出版者
沖縄大学人文学部
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 = Journal of the Faculty of Humanities and Social Sciences (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
no.16, pp.29-39, 2014-03-05

沖縄では嘉手納以南の米軍基地が返還されることとなっているが、返還基地の円滑な環境回復をいかに実現するかは極めて重要な地域課題である。日米地位協定第4条第1項は汚染者の米国政府に対し環境回復の責任を免除しているとされる。しかし韓米地位協定は同様の条項を含むにも関わらず韓米両国政府は米国に環境回復の責任が一定程度あると解釈している。この日米・韓米地位協定の解釈における差異を検討しつつ、今後予定される返還米軍基地においていかに円滑に環境回復を実現するかについて、韓国での先行事例を踏まえた提言を行う。Although the schedule is not fixed yet, US military bases south of Kadena are planned to be returned to Okinawa, and their smooth environmental restoration is a very important local issue. Article IV, paragraph 1, of US-Japan SOFA (Status of Forces Agreement)is said to exempt the polluter, namely the US Government, from the responsibility of environmental restoration. Although US-ROK SOFA has the same article, both the US and the Republic of Korea (ROK) Governments understand that the US Government has the responsibility of environmental restoration to some extent. This paper examines thisdifference between Japan and Korea in the interpretation of SOFA and tries to make some recommendations for smooth environmental restoration of US military bases in Okinawa based on the preceding experiences in Korea.
著者
清川 紘二 桜井 国俊 Kiyokawa Kouji Sakurai Kunitoshi 法政大学沖縄文化研究所 沖縄大学人文学部
出版者
沖縄大学人文学部
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 = Journal of the Faculty of Humanities and Social Sciences (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
no.15, pp.61-68, 2013-03-15

本稿はアジア・太平洋戦争下で行われた日本政府・朝鮮総督府による朝鮮人被強制連行者、徐正福氏の2度(2006 年12 月、2007 年4 月)にわたるインタビューからの抜粋である。農民であった徐さんは1944年6月に慶尚北道達城郡嘉昌面の自宅で拉致され、沖縄県宮古島に連行された。宮古に上陸後は、軍夫として艦船からの荷物の揚陸作業を行った。徐さんは3000 人の強制連行者のうち唯一の日本語のできる朝鮮人であったため、軍夫長と言う重要な役職につき、軍隊と軍夫との通訳等も行った。宮古における軍夫の使役の状況、米軍爆撃の様子、日本軍人による差別、朝鮮人慰安婦のエピソード等についての詳細な口述は、沖縄における朝鮮人軍夫の状況をよく伝えている。徐さんの語りは、2006 年6月沖縄大学で講演した被強制連行者、姜任昌氏(慶尚北道英陽郡出身)による阿嘉島からの報告とともに、朝鮮人強制連行史における宮古島の空白のページを埋める貴重な証言である。
著者
藤田 陽子 我部 政明 前門 晃 桜井 国俊 Fujita Yoko Gabe Masaaki Maekado Akira Sakurai Kunitoshi
出版者
藤田陽子
巻号頁・発行日
2015-03

2012(平成24)年度~2014(平成26)年度(*2015(平成27)年度期間延長)科学研究費助成事業基盤研究(B)成果報告書 / 研究概要:本報告書は,3年間にわたる事業の成果としてまとめたものである。できる限り多角的に基地環境問題を捉えるため,研究チームのメンバーに加え,本研究課題の研究協力者にも論文執筆を依頼した。以下,掲載論文を簡単に紹介する。我部論文「化学兵器の沖縄からの撤去をめぐる日米琉関係」は,1971年の米軍の沖縄からの化学兵器撤去に関する米国政府等の意思決定過程を中心に,日米両政府聞における政治的思惑や,沖縄側の葛藤などについて分析している。前門論文「沖縄県における米軍基地と赤土流出」は,自然地理学の立場から,沖縄における米軍基地からの赤土流出の現状についてキャンプ・ハンセン周辺を中心に分析し,基地内裸地からの流出量が桁違いであることを指摘し,問題解決の必要性を訴えている。桜井論文「返還米軍基地跡地の浄化に関する日韓比較」は,本研究課題期間における複数回にわたる韓国調査に基づいている。同じように在外米軍基地の返還跡地の汚染や浄化の問題を抱えながら,土地所有形態の違いや地位協定の内容により大きく異なる状況にある沖縄と韓国を比較し,問題の根底を明らかにしている。川瀬論文「米軍基地を維持するためにどれだけ財政負担しているか」では,思いやり予算や特定防衛施設周辺整備交付金等,米軍基地を巡る様々な予算について客観的な財政分析を行い,それらの目的や根拠の不明瞭性を明らかにするとともに,米軍基地を沖縄に置き続ける理由となっていることを指摘している。林論文「米軍基地返還の意義」は,横田基地の軍用機騒音による社会的費用を推計するとともに,跡地利用推進特措法の役割の検証,そして軍事基地環境問題を考える上で,従来の経済計算の不備を指摘,「生の破壊を考慮に入れた経済学」の必要性を論じている。 Smith論文"Trouble in Paradise?US Military Forces Abroad,American Environmental Law,and the Law of Jurisdiction"は,在外米軍基地所在地での米国環境法の適用について論じている。たとえば普天間飛行場の辺野古移転に関しては,仮に米国連邦絶滅危慎種法等がされるとするならば,移転計画自体が中止されなければならないとしている。Davis論文"When the Bombs Stop: Environmental Issues after Military Base Closures"では,グアム,ハワイ,ヴィエケス島(プエルト・リコ)の各地における米軍基地による環境問題が地域の自然や社会に深刻な影響を与え,また基地使用終了後も同エリアが自然保護区に指定されるなどしてその歴史が隠されてしまう事実を示し,こうした現状は一種のコロニアリズムであるとも指摘している。これらの研究論文を通して,沖縄を中心に,韓国,ハワイ,グアム,ヴィエケス島といった同様の問題を抱えつつもその背景や現状を異にする複数の事例を比較することが可能となった。今後は,植民地支配や地域併合などの歴史的背景,地位協定に規定されている費用負担責任やホスト国の権限の差異,あるいは現在直面している安全保障上の問題との関連などに関するさらなる検証と,問題解決に向けたより具体的な提言が求められる。本報告書はその作業に向けたスタートに立つものであり,また本課題による研究活動が軍事基地環境問題を科学的・客観的に考察するための学術連携の基盤をなすものと考える。
著者
野波 寬 土屋 博樹 桜井 国俊
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.1211, (Released:2014-03-28)
参考文献数
36
被引用文献数
2

正当性とは,公共政策に対する自他の決定権について,人々が何らかの理由・価値をもとに評価する承認可能性と定義される。本研究では沖縄県における在日米軍基地政策を取り上げ,これに深く関わる当事者と関与の浅い非当事者との間で,NIMBY 問題における政策の決定権をめぐる多様なアクターの正当性とその規定因を検討した。正当性の規定因としては信頼性と法規性に焦点を当てた。当事者は精密な情報処理への動機づけが高いため,信頼性から正当性評価への影響は,評価対象のアクターごとに変化すると考えられる。これに対して非当事者は,各アクターの正当性を周辺的手がかりにもとづいて判断するため,一律的に信頼性と法規性が規定因になると仮定された。これらの仮説は支持されたが,その一方で非当事者ではNIMBY 構造に関する情報の獲得により,自己利益の維持を目指して特定アクターの正当性を承認する戦略的思考の発生が指摘された。以上を踏まえ,公共政策をめぐるアクター間の合意形成を権利構造のフレームから検証する理論的視点について論じた。
著者
桜井 国俊 宇井 純 山門 健一
出版者
沖縄大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究年度中の重要な社会情勢の変化として、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」が平成16年11月1日から完全施行されたことが上げられる。沖縄は食文化として豚肉を多食し、県下の養豚頭数は他県に比し人口比で3倍近くの25万頭あまり有り、養豚排水の適正処理は、環境保全の観点からも、地域産業と食文化の保護の観点からも重要なテーマである。しかしながら、現在、養豚排水浄化処理施設に対する補助事業は、曝気槽への流入汚水濃度を20〜30倍の水で希釈してBOD1,200ppm程度にして浄化処理をすることを認可条件として指導されている。この指導に従えば、毎日4万トンの希釈水が養豚排水処理のために必要となるが、水資源に乏しい沖縄島では、このような排水処理は持続可能とは言いがたい。そこで今年度は、県下の畜産農家とも連携しながら、研究分担者の宇井純が設計した大里村の金城農産の無希釈の酸化溝方式排水処理施設の他畜産農家への適用可能性を検証する実証研究を展開した。まず、酸化溝方式排水処理の実施設のパフォーマンスについて検討を行った。検討したのは、沖縄大学酸化溝水質分析結果、大里村金城農産酸化溝水質分析結果、滝沢ハム(株)酸化溝水質分析結果である。次いで、金城農産等の事例を踏まえ、無希釈による畜産排水処理施設を補助対象事業とするよう沖縄県当局と協議し、認可を得た。宇井純が平成15年度に執筆刊行した「沖縄型・回分式酸化溝のすすめ-自然循環型の畜舎排水処理システム」を使用した無希釈の畜産排水処理法の畜産農家への普及活動、平成15年度に研究代表者の桜井国俊が、太平洋の島嶼国家の水資源・排水処理管理などのあり方を論じて発表した「それはもちますか?-我々はいかなる開発をめざすのか?-」を沖縄に即して詳細に検討する作業を行った。