著者
波平 宜敬 HOSSAIN Md. Anwar HOSSAIN Md. Anwar
出版者
琉球大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年,医療用システムとして断層画像診断技術(OCT)が注目されている.OCT技術においての横分解能は,顕微鏡の開口数に依存するため,高開口数が必要とされている.OCTで使われる波長830 nm,1060 nm,1310 nm帯での高開口数用PCFの設計を,有限差分法(FDM)を用いた数値シミュレーションにより行った.本研究では,この数値解析モデルをOCTに応用することを提案している.OCTにおける画像明細度(分解能)は使われる光源とファイバスコープにより決められ,その光源がインコヒーレント,つまりスペクトルの広い光であればあるほど画像明細度(縦分解能)は上がり,そのファイバスコープが高開口数であればあるほど画像鮮明度(横分解能)は上がる.しかし,高開口数ファイバスコープをつくろうとしても,PCFは複雑な構造となり製造が難しいため大きな開口数を得られていないのが現状で,横分解能が不十分は状態であった.本研究では,眼科,消化器科,歯科に使われている波長830 nm,1060 nm,1310 nm帯における,OCTのため製造が容易な構造をもった高開口数ゼロ分散シングルモードPCFを推奨する.シミュレーション結果は推奨するPCF構造がOCTシステムの横分解能を向上させることを示している.なお,数値解析手法として有限差分法を用いた.波長830 nm,1060 nm,1310 nm帯における高開口数分散フラットPCFの数値シミュレーションを行った結果,高開口数を有するPCFであることが確認でき,このPCFをOCTに応用することによってOCTの横分解能を現在の20倍近く向上させることができた.