著者
荒井 孝男 Iwamoto Tornio
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.238-246, 1979

水産庁開洋丸のオーストラリア・ニュージーランド沖漁場調査の際, タスマニアとニュージーランド沖より得られたソコダラ科の1新種<I>Coelorinchus kaiyo-maru</I>を記載した.本種は吻が長く鋭く尖り, 吻長が眼窩径の1.4~1.9倍, 鼻骨中・側突起が吻の前側縁に沿って癒合しない;眼下隆起縁上の変形鱗列は後鼻孔下から2列になる;吻部上面両側の無鱗域は極めて狭い;胴部を暗青色の帯が完全に取巻いている;発光器は肛門直前の小黒色無鱗域で極めて短く, 二次発光腺を欠くことで他のトウジン属の種と区別される.米国エルタニン号によってフォークランド諸島沖より得た1個体は体部の鱗上の中央棘列が肥大しない等の点を除いて, ニュージーランド・タスマニア産のものと明瞭な相異は認められなかった.この相異が地理的なものか, 種を異にするものかは, 将来多くの標本を基に検討する必要がある.尚, 本種は最近<I>C.innotabilisa</I>大型個体として報告された (Iwamoto, 1978).