著者
川島 博之 M. J. Bazin J. M. Lynch
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.789-794, 1993-09-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
9

工業的空中窒素の固定量は陸上生態系における窒素固定量の1/2程度にまで増加しており, 今後も増加すると予測される.海洋への無機窒素の供給は, 海洋における窒素固定と陸上にて発生したものが河川を通じて運ばれるものとに依るが, 陸上よりの窒素の供給量が増加するため海洋中の無機窒素濃度が上昇することが予想される.簡易な数理モデルを用い, 工業的窒素固定量の増加に伴う陸上生態系の窒素循環過程の変化と今後の海洋へ放出される窒素量の予測を行ったが, 今後窒素循環過程は大きく変化することが予測され, また河川を通じての海洋への窒素放出量も, 来世紀において顕著に上昇することが予想された.