著者
吉田 正樹 井田 正博 政岡 ゆり 小岩 信義 Jean Louis Stievenart 吉川 輝
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.334-343, 2016

中枢機能を非侵襲的に研究するために,課題や刺激による局所脳活動解析がおこなわれてきた.一方で,このようなアプローチでは中枢機能の統合過程を研究するには限界があった.近年,安静時の脳活動という概念がデフォルトモードネットワークとして紹介され,これが内的思考などに関与し,従来の目標指向型の課題遂行で脱賦活する特徴があることがわかってきた.このような脳の自発的な活動は,従来の課題による脳局所活動と密接に相関することもわかってきた.この流れより,中枢機能の統合過程を解析する手段として,MR信号や拡散テンソル画像をベースにしたグラフ理論による解析法が提唱された.これらの,脳機能の局所解析からネットワーク全体の解析に至る過程を解説する.