- 著者
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久利 彩子
勝山 隆
臼井 永男
吉田 正樹
- 出版者
- 公益社団法人 日本理学療法士協会
- 雑誌
- 理学療法学Supplement
- 巻号頁・発行日
- vol.2008, pp.A3P3011, 2009
【目的】<BR>立位姿勢で床面に接地しない状態の足趾を「浮き趾」と言う.近年,幼児における「浮き趾」の激増や健常成人における「浮き趾」の実態が報告されている.しかし,姿勢の変化や姿勢保持中の経時的な状況において「浮き趾」の床面接地が変化するか否かについて報告は少ない.本研究では,「浮き趾」の足趾が,両足・片脚立位姿勢保持中に,接地状態が変化するか否か明らかにすることを目的に,調査を行った.<BR><BR>【対象者と方法】<BR>対象者は,同意の得られた「浮き趾」のある健常成人9名中「浮き趾」が確認できた14足で,平均年齢28.9±7.7歳(男性5名,女性4名)であった.「浮き趾」有無の評価は,厚さ15mmのアクリル板の上で対象者の両足部を肩幅として前方直視で裸足にて立位保持させ,足底面画像をスキャナー(Canon社製CanoScanD1250U2F)を用いてパソコンに取り込んだ後,足底面の状況を視覚的に観察し確認を行った.さらに,両足部を肩幅として前方直視で裸足にて立位保持させた対象者の足趾と足底接地させたアクリル板との間に,市販の付箋紙1枚を抵抗なく差し込めるか否かで,「浮き趾」有無を再確認した.「浮き趾」の経時的な床面接地状況の測定肢位は,30秒間の開眼閉足両足立位および開眼片脚立位とした.両足立位の測定姿勢は,日本めまい平衡医学会の定めた方法とした.片脚立位の測定姿勢は,東京都立大学体力標準値研究会『新・日本人の体力標準値2000』による指標に基づいた.「浮き趾」の経時的な床面接地状況を確認するため,「浮き趾」が床面に接地するとスイッチが入り,LEDが発光する装置を自作した.様子を撮影した動画を30フレーム/秒ごとに確認し,LEDが発光した全フレーム数を時間に変換し,測定結果を得た.統計処理は,ウィルコクソン符号付順位和検定を用いた.<BR><BR>【結果】<BR>「浮き趾」が30秒間の姿勢保持で接地する時間の第1,第2,第3四分位数はそれぞれ,両足立位で0.0秒,4.2秒,23.8秒,片脚立位で5.6秒,26.2秒,27.7秒であった.片脚・両足立位とも,「浮き趾」の床面接地は経時的に変化していた.片脚立位と両足立位では「浮き趾」の接地時間に有意差が認められた(p<0.01).<BR><BR>【考察】<BR>立位姿勢を保持させ,「浮き趾」の経時的な床面接地状況を調査したところ,片脚立位姿勢保持では,閉足両足立位姿勢保持に比べて「浮き趾」の接地が増大していた.このことは,姿勢保持の難易度と「浮き趾」の接地状況に関係があることを意味すると考えられる.また,閉足両足立位において「浮き趾」の経時的床面接地の中央値は4.2秒であった.「浮き趾」有無の判定は,肩幅に足部を開いた両足立位で行っている.足底が肩幅に開いた立位姿勢と閉足立位の姿勢の違いが,「浮き趾」の経時的な接地に影響を及ぼすのではないかと考えられる.