著者
Huang Chin-Cheng Jong Ming-Hwa Lin Shih-Yuh
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.S・iii, 677-679, 2000-07-25
被引用文献数
2 37

1997年3月以降, 口蹄疫の2種類のウイルス株が台湾に侵入し, 豚および口蹄疫の大規模な発生を起こした。1997年3月に発生した口蹄疫は, 自然感染経路では豚以外の偶蹄類には感染しない豚に馴化したウイルス株(O/Taiwan/97)によることが明らかにされた。この株による口蹄疫は2ヶ月の間に台湾全域に広がり, 感染農家6, 147農場の3, 850, 746頭の豚が淘汰された。1999年6月には台湾本島の西方に位置する金門島(金門県)で, 第2のウイルス株(O/Taiwan/99)が黄牛から分離された。しかしながら, 1999年末までにこのウイルス株による感染が認められた動物種は黄牛以外になく, また, 感染した黄牛は臨床症状を示さなかった。血清中和抗体およびNSP(non-structural protein;非構造ウイルス蛋白)に対する抗体上昇の確認は, ワクチン非接種群における感染個体の摘発に最も有効な指標となった。しかしながら, 感染動物は臨床症状を示さないものの, 別個体への感染成立に充分なウイルス量を排出していた。口蹄疫ウイルスに対する特異抗体の検出や, プロバング試験を用いた咽頭食道粘液(OP液)からのウイルス分離によって, 金門島と台湾本土の黄牛の10群が感染していたことが明らかにされた。また, 2000年の1月から3月の間に, O/Taiwan/99株と同じウイルス株によって, 台湾の4つの県に合計5回にわたり口蹄疫が発生した。この時の感染動物は山羊, 黄牛, 乳牛と多種類で, とくに2週齢以内の子山羊は高い致死率を示すとともに, 乳牛は口蹄疫の典型的な臨床症状を示した。