著者
Jung Eun-Yong Lee Beom-Jun Yun Young Won KANG Jong-Koo BAEK In-Jeoung MIN-YON Jung LEE Yoon-Bok SOHN Heon-Soo LEE Jae-Yong KIM Kang-Sung YU Wook-Joon DO Jae Cheul KIM Young Cheul NAM Sang-Yoon
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.1347-1354, 2004-11-25
被引用文献数
1 16

大豆由来イソフラボンであるゲニステインは栄養補助食品としてその効果が認められているが,同時にエストロゲン様作用が雄性生殖器の発達に及ぼす影響も懸念されている.そこで,本研究では,この点を明らかにする為に,妊娠および授乳期に大豆ベースの餌を食べさせた母親から生まれた21日齢のマウスに,ゲニステイン(2.5mg/kg/day)およびエストラジオール(7.5μg/kg/day)を5週間投与した.実験期間中,マウスはカゼインベースのAIN-76で飼育を行った.ゲニステイン投与とコントロール群(コーンオイル投与)との間に精子数や精子運動能に関して違いは見られなかった.エストラジオール投与群では前立腺重量や精巣上体精子数が,コントロール群に比べて顕著に減少していた.セレン依存性ペルオキシダーゼ・スーパーファミリーのひとつであるphospholipid hydroperoxide glutathione peroxidase (PHGPx)はゲニステインおよびエストラジオール投与群で,コントロールに比べて有意に増加していた.エストラジオール投与は精子変性やアポトーシス増加,精巣上体の変性や前立腺のhyperplasiaを引き起こしていたが,ゲニステイン投与マウスでは,これらに関し異常は見られなかった.従って,成長期のゲニステインの日常的な摂取は,生殖器の発達や機能には影響を与えないことが示唆された.