- 著者
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新山 陽子
金 成学
KIM SongGak
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 特別研究員奨励費
- 巻号頁・発行日
- 2002
本研究の目的は、米国の食品安全管理システムを取上げ食品安全がどのようにコントロールされているかを総合的に分析・検証したうえで、日本のシステム構築への提言を行うことである。具体的な課題として以下の4つを設定した。1.安全性管理システムとそれを支える経済理論を検討する。2.食品安全管理の新しい手法として注目されている「リスクアナリシス」の手法について、とくに食肉を対象により詳細な実証分析を行い、その導入の到達点と問題点を解明する。3.以上にもとづいて、アメリカの食品安全管理システムの経験から得られる、日本の食品安全確保システム構築への知見をまとめる。4.食肉を対象にリスクアナリシスの手法にもとづく安全管理の基本モデルの提示を試みる。採用期間中は、文献と国内外の現地調査をもとに分析を行い、その成果を雑誌論文として公表した。主要な内容としては、まず、白米両国の食肉安全管理システムの検証として、安全管理システムの構造とそれを支える経済理論について検討した。ここでは、食肉安全管理体系を、民間戦略/自主的政策、法律による直接規制、法的インセンティブ政策という3つに整理し、食肉そのものの安全確保と、安全性情報の提供・管理という2つの側面に焦点をあてた。また、リスクアナリシスの手法について、詳細な実証分析を行い、その導入の到達点と問題点を解明した。具体的には、リスク査定結果とリスク管理政策を検討し、生産・流通の各段階においてリスク管理システムがプラン通り厳格に実施・運営されているか、また、その結果として、病原性微生物やBSE等への対策が確実に成果を上げているかを検証した。また、アメリカのリスクアナリシス、トレーサビリティ、HACCPなどに対する考え方・概念を整理し、EUや日本と比較しながら、安全管理システムのあり方をめぐる論点を明らかにした。あわせて、食肉に関する日米の安全性基準の違いとその根拠、WTO・SPS協定との整今性を検討し、それをもとにした「安全性基準の国際的整合」のあり方への課題提起を行った。