- 著者
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安藤 元一
上遠 岳彦
川嶋 舟
Motokazu Ando
Kamito Takehiko
Kawashima Shu
- 出版者
- 東京農業大学
- 雑誌
- 東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.4, pp.275-286, 2013-03
学生が大学入学前にどのような野生動物関連の知識と体験を有しているか,東京農大生を対象に2002年と2012年にアンケート調査した。野外で見たことのある動物は2002年には鳥類>哺乳類>魚類>爬虫類>両生類の順であったが,2012年には爬虫類,両生類,魚類が大きく減少した。後者は水辺などに行かねば見られない動物であることから,この10年間に若年層の自然に触れる機会が減少していると思われた。野生動物に関する知識や意識における10年間の変化は少なかった。野生動物の目撃場所では,自宅周辺や里山が多く,旅行中の目撃頻度は減少傾向にあった。学生がイメージできる野生動物関連職業の数は少なく,動物園や研究職など一部職種に集中していた。好きな日本産動物の上位は陸生の中・大型哺乳類で占められ,食虫目や翼手目への関心は極めて低かった。好きな世界の動物では動物園で見ることのできるライオン,パンダ,ゾウ,コアラ,トラなどの大型獣が上位であった。野生動物に関する情報源としては特定のテレビ番組が大きな役割を果たしており,本では動物図鑑がよく利用されていた。動物系学科で学ぶ学生(東京農業大学)と非動物系の学生(国際基督教大学)を比較すると,野生動物教育の経験を除いて,アンケート結果は類似しており,入学前における野生動物経験の多寡は大学選択に影響していなかった。動物系の異なる研究室(野生動物学と動物介在療法)に所属する学生の野生動物経験を比較したところ,回答傾向は概ね類似したが,後者では鳥類や獣害に対する関心が若干低かった。