著者
松岡 守 Kang Qing Wei 田 園 Matsuoka Mamoru Kang Qing Wei Tian Yuan
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.77-83, 2009

姓名に関する研究は、非常に長い歴史と伝統があり、又、研究分野も多岐に亘っている。本論文は、马庆株氏の研究方法に依拠し、分類と順序配列を主な方法として、分類と順序の両面及び命名修辞の面から、運用に関わる問題の分析を試みる。本論文は、二つの構成部分からなる。すなわち、第一の構成部分は、姓名の指示機能についてであり、第二は命名修辞についてである。そして、第三が姓名の指示機能と命名修辞の関係に関する部分である。第一の構成部分である姓名の指示機能においては、姓名の指示機能は分類を通して実現すること、従って、姓名は分類体系であることを明らかにする。「姓」は、類を表し、同一社会集団に所属することを表示して、同一社会集団内における成員間の最初の血縁関係を示すものである。「字輩」もまた類を表し、社会集団内部における最も近い血縁関係にあるものを再分類する。「字輩」を明確にすることによって、集団内部での世代が明らかとなる。「名」もまた指示機能を有する。姓名の指示機能は、また順序配列を通して体現される。もし同世代で一人だけではない場合、長幼の順序を通じて指称できるようになる。これらの検討から、「姓から字輩、さらに名に至る」過程は、「大分類から小分類、さらに成員個人に至る」ことに"焦点を合わせていく過程"であるといえる。第二の部分では、修辞機能、すなわち、指示機能は姓名の主たる機能であるが、姓名にも優劣があり、又、修辞機能もあって、名前を付ける場合には必ずこと細かに考慮しなければならないことを明らかにする。「姓」は、類の表示として、一般に修辞の関与はない。但し、姓の音と意義を利用して、部分的に修辞機能を担う場合もある。「字輩」は、心を込めて選ばれたものであり、修辞の関与程度はやや高い。こうした点を三つの面、すなわち、姓、字輩、名について検討を行い、名が担う修辞任務が最も重要であるということを明らかにする。姓名の担う修辞任務が重ければ重いほど、分類の表示と順序配列の表示を明確なものにしない。最後に、指示機能と命名修辞の関係について検討する。姓名の指示機能が第一義的なものであり、主要なもので絶対的なものであること。修辞機能は第二義的なものであり、付属的なもので相対的なものであること。 この点の解明を試みた。仮に、指示機能だけがあり修辞機能がなければ、姓名の生命力は優ったものとはならない。但し、もし修辞機能と指示機能が矛盾を生じたならば、指示機能の方が重要となる。三つの部分の検討を通して明らかとなったことは、箇条的に示せば、①姓名は、指示機能も修辞機能もある。指示機能が第一義であり、修辞機能が第二義であること。②姓名の指示機能は、分類と順序配列を通して実現すること。③姓名の修辞機能は、分類と順序配列が修辞に及ぼす作用を弱化することにより実現すること。④姓名の指示機能と修辞機能の関係をうまく処理するために、姓名のもつ分類と順序配列の作用を重視しなければならないこと。以上の諸点である。姓名の指示機能と修辞機能に関する先行研究は、文化学、人類学、心理学、社会言語学等の分野からなされたものが多いが、言語学の研究方法を活用した研究はそれほど多くはない。本論文は、語義機能文法の研究方法を参考に言語学の観点から考察したものである。人们对于姓名的研究可以说是源远流长, 研究内容渉及社会语言学、心理学、文化人类学、符号学、修辞学等诸多方面。本文打算借鉴语义功能语法的-些研究方法, 对姓名的指称功能及修辞功能问題作-些初歩探讨。马庆株倡导的语义功能语法理论重视词的小类划分, 重视顺序义, 分类和排序己成为语义功能语法研究的两种重要方法。运用这些方法, 马先生进行了大量研究, 取得了丰硕的研究成果, 比如在动词中建立了持续非持续和自主非自主两个新的分类系统, 论述了顺序义对体词语法功能的影响, 考察了词的小类在共现吋的排列规则, 不过他没有渉及到姓名研究。我们发现, 分类和排序这两种方法,同样适用于姓名研究, 下面我们就试着运用这两种方法来分析一下姓名的指称功能与修辞功能。