著者
木下 健 Ken Kinoshita
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.17-30, 2015-09-20

本稿の目的は、政治家とインタビュアーのコミュニケーションにおける相互作用の実態をケース・スタディにより明らかにすることにある。政治討論番組は、視聴者にわかり易く政治状況を伝えるとともに、マスコミが政治家に対して直接質問することによって、政府や政党を追及することに意義があるといえる。本稿においては、テレビの政治討論番組がインタビューを行う過程において、出演する政治家に対して、いかなる質問を行い、どのような回答を得ているのかを明らかにする。その際、司会者はどのような争点を質問し、出演する政治家はその質問に対して、いかに答えているのか、質問を回避しているのかを明らかにする。分析の結果、以下の3点を明らかにした。第1に、政治討論番組において、議題はテレビ局及び司会者が設定するため、唐突に質問の議題が大きく転換する点が存在することである。第2に、質問にはフェイスへの脅威が存在する場合があり、脅威には程度の違いが存在していることである。第3に、議題、フェイスへの脅威、及びクローズドエンドクエスチョンかどうかという質問の形式によって回答が明確に答えられるかが変わりうることが明らかとなった。