著者
木下 健
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.79-92, 2012-09

研究ノート・資料(Note)本稿は、過去20年間の衆参予算委員会において議事運営に関する与野党の対立構造を明らかにしたものである。分析対象期間は1992年から2011年の20年間とし、与野党対立を三つの尺度を用いて分析を行った。一つ目の尺度は審議空転であり、日程協議を主な分析の対象にしている。残る二つの尺度は、委員会審査内における与野党対立を対象としたものであり、一つは委員長の理事会協議をする旨の発言回数であり、もう一つは速記が止められた回数を分析対象としている。予算委員会における議事運営の与野党対立を分析することを通じて、参議院予算委員会の審議機能の検証を試みた。一つ目の尺度からは国会審議における空転割合が大きくなる一因が政治倫理問題の多寡によることが改めて確認された。その他、2000年及び2008年に関しては与党が強行採決したことに対し、審議拒否がなされ空転が生じていることから、与党の強硬姿勢が空転割合を増やす要因となっている。審議空転に関しては衆議院での審議段階において、審議拒否がなされ空転することが主となっているが、参議院での審議段階において93年、08年及び09年に審議空転が生じている。参議院においては30日ルールの制約があるため、93年以降政治倫理問題に関して空転は生じていない。参議院段階における93年の空転は佐川急便事件であり、証人喚問を強く求めるものであったが、効果は限定的であった。他方08年の参議院段階での空転はガソリン税の暫定税率延長のつなぎ法案に関して、期限切れを目指すものであり、09年は定額給付金などに反対し、集中審議を求めたものであり、倒閣や政権交代を狙っての野党戦術となっている。残る二つの尺度に関して、理事会協議回数については20年間を通してみると衆議院予算委員会の方が参議院予算委員会よりも多く理事会協議回数が現れており、委員会審査から理事会協議へ影響を及ぼしていたことがうかがえる。他方で速記中止回数については参議院予算委員会の方が多くなっており、徹底した追及がなされているといえる観測結果が得られた。その他、重回帰分析により空転割合が増えるほど、速記中止回数が増えることが判明した。また野党が参議院で過半数を占めている場合、速記中止回数は減ることがわかった。衆参の審議機能を考えるにあたっては、衆議院で追及しきれなかった場合、参議院で追及がなされるため、衆参を一体のものとして評価する必要がある。衆参一体のものと評価したうえで、参議院予算委員会は片道方式を採用したことに起因して、二院制が行政府監視機能を強めていると考えられる。
著者
貝瀬 利一 木下 健司
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.45-51, 2009-01-01 (Released:2009-01-01)
参考文献数
28
被引用文献数
5 6

The old Japanese army developed several chemical warfare agents on Ohkuno Island in Seto inland sea, Hiroshima Japan, during the period between 1919 and 1944. These chemical agents including yperite (mustard; irritating agent), lewisite (irritating agent), diphenylchloroarsine (DA; vomiting agent), diphenylcyanoarsine (DC; vomiting agent) and other poisonous gases were manufactured to be used in China. After World War II, the old Japanese army abandoned or dumped these agents into seas inside or outside of Japan and interior of China. Rather than being used for terrorism, these chemical warfare agents containing arsenicals may cause injury to some workers at the digging site of abandoned chemical weapons. Moreover, the leakage of chemical agents or an explosion of the bomb may result in environmental pollution, as a result, it is highly possible to cause serious health damage to the residents. There are still many abandoned or dumped warfare agents in Japan and China, therefore chemical agents containing arsenic are needed to be treated with alkaline for decomposition or to decompose with oxidizing agent. Presently, a large quantity of chemical agents and the contaminated soil are processed by combustion, and industrial waste is treated with sulfur compounds as the insoluble sulfur arsenic complex. This report describes the methods for the disposal of these organic arsenic agents that have been implemented until present and examines the future prospects.

2 0 0 0 OA 飲酒と健康

著者
林田 真梨子 木下 健司
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.1, pp.2-10, 2014 (Released:2018-02-16)
参考文献数
7
被引用文献数
1 3

武庫川女子大学バイオサイエンス研究所では,2010年より久里浜医療センター監修のもとアルコール体質遺伝子検査および飲酒習慣に関するスクリーニングテストを実施している。それによって,未成年者に対しては飲酒防止のための健康教育,成人に対しては適切な飲酒習慣の指導を行っている。また,この活動には,我々にとって身近なアルコール体質検査を通じ,遺伝子診断によるオーダーメイド医療の普及・理解に向けた啓蒙を行うといった目的も含まれている。アルコール体質を5タイプに分類し,それぞれ留意すべきポイントがまとめられているので,読者の日々の健康管理に役立てられたい。
著者
岸 啓 木下 健太郎 中原 子竜 奥谷 匠 田中 隼人 岸田 悟
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学学術講演会要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, pp.269-269, 2010

rfスパッタ, オフアクシズ, GaドープZnO(GZO), 低温成膜, プラスチック基板
著者
木下 健
出版者
同志社大学
雑誌
同志社政策科学研究 (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.45-59, 2013-09

論説(Article)本稿は、国会審議における国政調査について取り上げ、その実態を明らかしたものである。衆参における比較を通じて、国会審議の国政調査の量に関する分析を試みた。分析の結果、明らかとなった点は次の三点である。一点目は、付託された法案数が多ければ国政調査の量自体が圧迫される委員会があるということである。二点目は、会期制が国政調査の量に貢献しているということである。これは我が国では会期不継続の原則があるために、臨時国会・特別国会においては国政調査を行なっているという実態があることを表している。三点目は、マカビンズとシュオルツによるパトロール型監視機能は一部の委員会(衆農水委、衆厚労委、参厚労委)において軽視されることを実証した点である。
著者
木下 健 Ken Kinoshita
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha University policy & management review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.17-30, 2015-09-20

本稿の目的は、政治家とインタビュアーのコミュニケーションにおける相互作用の実態をケース・スタディにより明らかにすることにある。政治討論番組は、視聴者にわかり易く政治状況を伝えるとともに、マスコミが政治家に対して直接質問することによって、政府や政党を追及することに意義があるといえる。本稿においては、テレビの政治討論番組がインタビューを行う過程において、出演する政治家に対して、いかなる質問を行い、どのような回答を得ているのかを明らかにする。その際、司会者はどのような争点を質問し、出演する政治家はその質問に対して、いかに答えているのか、質問を回避しているのかを明らかにする。分析の結果、以下の3点を明らかにした。第1に、政治討論番組において、議題はテレビ局及び司会者が設定するため、唐突に質問の議題が大きく転換する点が存在することである。第2に、質問にはフェイスへの脅威が存在する場合があり、脅威には程度の違いが存在していることである。第3に、議題、フェイスへの脅威、及びクローズドエンドクエスチョンかどうかという質問の形式によって回答が明確に答えられるかが変わりうることが明らかとなった。
著者
村重 淳 木下 健
出版者
The Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers
雑誌
日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.168, pp.183-192, 1990 (Released:2009-09-16)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

Wave focusing has been attracting ocean engineers as one of the most promising techniques to control ocean waves. It creates a calm sea area and helps efficient utilization of wave energy. In the present work, a hydrodynamic singularity distribution which expresses a wave focusing lens is derived by the method of matched asymptotic expansion, assuming slenderness of the lens and high frequency of incident waves. The singularity distribution gives the following necessary conditions for scattered waves in each section of the lens : there is no reflection from the lens and the transmitted waves suffer a phase shift in passing the lens. The phase shift is given by the wavenumber and the distance between the section and the focus. From these conditions, we examine a sectional shape of the lens and determine the whole geometry.It is shown by experiments and numerical computations using the two dimensional doublet distribution method that a submerged chevron shape plate, which is suitably folded, scatters a wave system which satisfies the above conditions at a certain wave frequency, but not in wide band of wave frequencies because of dispersion of water waves.Then it is shown by experiments that a certain number of submerged circular cylinders, which are horizontally arranged at intervals just like a raft, transmits waves which have enough phase shift to focus waves but reflects almost no waves in wide band of wave frequencies.Finally, we examine performances of three types of lens, namely, submerged flat plate, submerged chevron shape plate, and submerged circular cylinders, in both regular and irregular waves. It is shown by numerical computations that the wave focusing efficiency of the lens consisting of circular cylinders is about twice that of the flat plate type lens and that the drift force acting on the former is less than half of that on the latter in irregular waves.
著者
高木 健 木下 健 寺尾 裕 井上 憲一 田中 進 小林 顕太郎 山田 通政 高橋 雅博 植弘 崇嗣 内山 政弘 江嵜 宏至 佐藤 増穂 岡村 秀夫
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.132-132, 2006

この論文では、環境負荷の小さい基幹エネルギー源として、帆走型洋上発電施設を提案している。この施設は、台風を避けながらかつ好適風力を求めて日本のEEZ内を航行するのが特徴である。また、このコンセプトの目標として、水素社会が実現される頃に、環境負荷が最も少ない基幹エネルギーとして成立することを目指している。試設計によれば、この施設は台風を上手に避ける運動性能と、充分な強度を有することが判った。また、フィージビリティ・スタディによれば、この施設3900個で石炭から得られるエネルギーに相当する日本全体の発電量の18%のエネルギーを代替することができ、2002年のCO2レベルの10%を削減できることがわかった。
著者
競 和佳 今井 美穂 森次 美和子 山森 元博 村田 成範 木下 健司 Madoka Kisoi Miho Imai Miwako Moritsugu Motohiro Yamamori Shigenori Murata Kenji Kinoshita
雑誌
武庫川女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:09163123)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.1-5, 2018-03-31

Though drugstore pharmacists can also be known as primary health care pharmacists, it cannot yet be said that they completely fill this role. We believe that it is crucial for pharmacists to consult reliably with patients. To develop this ability, it is necessary to select a familiar and relevant theme by considering various factors that are worth discussing in their own right through conducting simple verification experiments. Caffeine is found in many foods and drinks, as well as in over the counter cold remedies and analgesics. Moreover, it has been widely used around the world to probe the effectiveness of drug-metabolizing enzyme activity of medications for liver disease. We have built a simple and easy experiment system to evaluate the pharmacokinetics of caffeine in saliva, and we examined the relationship between the drug-metabolizing enzyme CYP1A2 genetic polymorphism and various related constitutional hereditary factors.
著者
村上 絵美 大井 喜久子 宮川 謹至 藤田 隆 和田 光俊 重松 麦穂 小田島 亙 木下 健太郎 大形 英男 松邑 勝治
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.497-503, 2019-11-01 (Released:2019-11-01)

科学技術振興機構が運営する電子ジャーナルプラットフォーム「J-STAGE」は,1999年10月に運用を開始し,2019年10月に20周年を迎える。運用開始当時の登載誌はわずか3誌のみであったが,現在,登載数は2,900を超えている。わが国の約半数の学協会が利用する電子ジャーナルプラットフォームへと成長したJ-STAGEだが,近年の学術コミュニケーションや研究フローの変化に伴い,新たな課題が浮き彫りとなってきている。本記事では,J-STAGEの最新の公開状況やサービス内容を解説するとともに,新たな課題,特に,オープンアクセス推進に向けた取り組みなどを紹介する。
著者
木下 健 田中 宏樹 キノシタ ケン タナカ ヒロキ Kinoshita Ken Tanaka Hiroki
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.15-25, 2015-03

論説(Article)本稿では、2012年8月に実施された「エネルギー・環境の選択肢に関する討論型世論調査」の効力について、計量評価を行っている。具体的には、Fishkin et. al.(2006)で提示されたDP評価の4基準に照らして、エネルギーDPがそれらの基準をどこまでクリアできていたかを検証する。実証分析の結果、討議参加者の代表性の確保に関しては、電話アンケート調査とエネルギーDP参加者の選好が異なっていたことから、記述的代表性が確保されていないことを明らかにした。有意な意見態度の変容に関しては、χ2検定の結果より、原発ゼロシナリオ及び原発20-25シナリオに関して、有意な意見態度の変容が起こったことを示した。また、討議倫理の保持に関しては、Somersのd検定の結果より、原発ゼロシナリオ及び原発20-25シナリオにおいて、集団分極化が発生していることを示した。最後に、討議合理性の発揮に関しては、順位相関分析より、コストと原発シナリオが相関関係を示すように変化したことから、討議合理性が発揮されたと判断した。集団分極化が見られたものの、有意に意見態度が変容し、討議合理性を発揮したといえることから、熟慮された公共的判断を体現する熟議的代表性が一定程度確保されていたといえよう。
著者
林田 真梨子 鎌田 由佳 大田 智子 児島 沙由梨 増見 恭子 村田 成範 木下 健司
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.134-138, 2015 (Released:2015-05-21)
参考文献数
15
被引用文献数
2 7

Objectives: The purpose of this study was to identify associations between ALDH2 and ADH1B genotypes and ethanol-induced cutaneous erythema and assess the accuracy of an ethanol patch test in young Japanese women. Methods: The subjects were 942 female Japanese university students. They were given an ethanol patch test and examined for ethanol-induced cutaneous erythema both immediately after removing the patch and 10 minutes after removing the patch. A saliva sample was used to determine the ALDH2 and ADH1B genotype of each subject by realtime PCR. Results: The sensitivity and specificity of erythema immediately after removing the patch as the marker for the presence of inactive ALDH2 were 69.6% and 87.7%, respectively, and the sensitivity and specificity of erythema 10 minutes after removing the patch were 85.2% and 85.1%, respectively. The sensitivity of erythema after 10 minutes was markedly lower in the ADH1B*1/*1 carriers than in the ADH1B*2 carriers (8.3% vs. 89.7%, p<0.0001), and the specificity was significantly higher in the ADH1B*1/*1 carriers than in the ADH1B*2 carriers (96.9% vs. 84.3%, p<0.05). Conclusions: Overall, both sensitivity and specificity were satisfactorily high, but having the ADH1B*1/*1 genotype prevented a positive reaction for inactive ALDH2 and caused false-negative results. The data also suggested that having the ADH1B*2/*2 genotype caused a positive reaction in subjects with the ALDH2*1/*1 genotype. Despite these exceptions, the ethanol patch test has enough accuracy and can be used easily to subjects who don’t drink alcohol. This is a valuable tool for improving the health literacy of younger generation subjects.
著者
上坂 充 木下 健一 西原 鉄平
出版者
The Visualization Society of Japan
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.17-24, 2000

Dynamic visualization of atomic motion is going to be available by the femtosecond beam flash method. The method utilizes two synchronized femtosecond beams such as electron, laser, X-ray, ion and neutron. This can be done at Nuclear Engineering Research Laboratory, University of Tokyo. Especially, the time-resolved X-ray diffraction, which is one of the femtosecond beam flash methods, enables the dynamic visualization of atomic motions. Visualized atomic motions in coherent phonon, phase relaxation, phase transition, thermal expansion and shock wave in GaAs monocrystal irradiated by the femtosecond laser are described in this paper.
著者
木下 健 キノシタ ケン Kinoshita Ken
出版者
同志社大学政策学会
雑誌
同志社政策科学研究 = Doshisha policy and managemant review (ISSN:18808336)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.17-30, 2015-09

論説(Article)本稿の目的は、政治家とインタビュアーのコミュニケーションにおける相互作用の実態をケース・スタディにより明らかにすることにある。政治討論番組は、視聴者にわかり易く政治状況を伝えるとともに、マスコミが政治家に対して直接質問することによって、政府や政党を追及することに意義があるといえる。本稿においては、テレビの政治討論番組がインタビューを行う過程において、出演する政治家に対して、いかなる質問を行い、どのような回答を得ているのかを明らかにする。その際、司会者はどのような争点を質問し、出演する政治家はその質問に対して、いかに答えているのか、質問を回避しているのかを明らかにする。分析の結果、以下の3点を明らかにした。第1に、政治討論番組において、議題はテレビ局及び司会者が設定するため、唐突に質問の議題が大きく転換する点が存在することである。第2に、質問にはフェイスへの脅威が存在する場合があり、脅威には程度の違いが存在していることである。第3に、議題、フェイスへの脅威、及びクローズドエンドクエスチョンかどうかという質問の形式によって回答が明確に答えられるかが変わりうることが明らかとなった。
著者
村田 成範 木下 健司 増見 恭子 林田 真梨子
出版者
武庫川女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究における教育活動として、当初の高等学校での出前講義・実験および大学での初年次教育に加え、小学生とその保護者、飲料関連企業、薬局などで、遺伝子検査を含むゲノム科学リテラシーセミナーを実施し、遺伝子に関する教育方法および解析技術を改良した。アルコール遺伝子検査を行った大学では3年次以降での追跡調査も開始した。教育方法の改善に加えて、高校での遺伝子実験法の改良により、生徒自身が実験を主導できる実験系プロトコールを開発し、個人情報取り扱いを含めた高校生主体プロジェクトの開始に向けた検討を行った。また大学でのアドバンス科目用として遺伝子情報取り扱いのための基礎技術も開発した。
著者
冨田 宏 木下 健 山口 一 林 昌奎 川村 隆文 早稲田 卓爾
出版者
独立行政法人海上技術安全研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

海洋において突然出現する巨大波浪(Freak/Rogue Wave)は大型船舶や海洋構造物の重大損傷、中小船舶の喪失を引き起こす極めて危険な現象として近来世界的にその発生機構の解明や発生頻度の推定に関する研究が注目されている。本課題研究においては先ずフリーク波がどのような波として実海域に出現するのかについて既存のデータや海員等の実体験をもとにフリーク波の特異性について共同研究者ならびに関係者によって組織されたフリーク波研究会において引き続き定期的に議論を行い、共通認識を深めた。さらに当該期間中造船学会におけるオーガナイズドセッションをはじめ、フリーク波や関連現象に興味を有する数学、数理物理学、海洋学、船舶・海洋工学、土木工学等諸分野の研究者に呼びかけ、九州大学応用力学研究所においてシンポジウム「海洋巨大波の実態と成因の解明」を2回にわたって開催レ、異分野間の交流を深め研究の進捗に多大な刺激を与えた。得られた成果の一部は海外研究集会においても発表された。さらに、韓国におけるフリーク波研究プロジェクトグループ(MOERI)との交流の一環として、釜山で開催されたフリーク波の国際シンポジウムに参加し、研究代表者が招待講演を行った。それらの議論を踏まえて、2次元的な長い峰を持つ場合についてはうねり等に適用出来ると言われている非線形波動理論、就中、非線形シュレディンガー方程式を基礎とした理論的研究をさらに詳細に行い、そこでプラズマ物理学において現れるホモクリニックな解としてのBreatherと呼ばれる現象に着目し、これを水面波に応用することによってフリーク波の有力なモデルが得られることを明らかにした。この結果は船舶試験水槽における物理実験ならびに81E法を用いた数値シミュレーションによっても確認され、曳航模型船に対する波浪荷重の推定実験の入力データとして提供された。また当該方程式の差分法による数値計算を実行することによって、周期境界条件の下ではこの種のブリーク解が繰り返し現れFPUの回帰現象を示すことを確かめた。この結果からフリーク解が(1Dについては)KdVソリトンに類似の基本解であることが明らかとなった。より一般の方向性(2D)を有する巨大波についてはこの現象の発現が稀であることから十分多数の観測データを取得することが困難であるため、発生確率を正確に決定するには至らなかった。実用的に重要なこの課題を克服するためには実海域における人工衛星リモートセンシングから確認する必要があるためそれを可能とするデータ解析アルゴリズムの開発を引き続き行っている。さらに散乱データに大きな影響を与える要素である海上風とそれによる表面誘起流れの様子を子細に調べるためにCFD手法に基づく海面での大気一海洋相互作用シミュレーション計算を引き続き行っている。方向性を有する波列の研究は新しい科研費研究課題として取り組まれる予定である。この種のシミュレーションが本格化すれば100年来の海洋学の未解決な大課題である風波の発生機構にも解決を与えることが可能であると期待される。
著者
長谷川 弘 木下 健太郎 岸田 悟
出版者
信号処理学会
雑誌
Journal of Signal Processing (ISSN:13426230)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.29-38, 2014-01-25 (Released:2014-01-25)
参考文献数
26
被引用文献数
1

We construct a speaker authentication system, where 3-layerd neural networks with ensemble learning algorithm are used, and investigate the effect of ensemble learning on the performance of the system. From the results, we found that the authentication rates of the system for a person became to 100% by using ensemble learning. Therefore, the new ensemble leaning used in this study is thought to be useful for the speaker authentication system with layered neural networks. In addition, a new multi-step authentication system for many persons by extending the system for a person was suggested. In the system, the ensemble learning was also useful for the speaker authentication system of neural networks for many persons.
著者
鶴田 茂之 木下 健太郎 中林 竜也 岸田 悟
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.6, pp.93-97, 2011-04-11

新規の不揮発性メモリやスイッチング素子として期待されるCB-RAM (Conducting Bridge Random Access Memory)において,従来用いられてきた固体電解質をCMOSプロセスへの親和性の高い酸化物に置き換えた場合でも類似のスイッチング現象が生じることが報告された.しかし,酸化物を用いたCB-RAMのメモリ特性に関する報告はまだ少ない.本研究では,Cu/HfO_2/Pt構造の電気特性及びデータ保持特性を評価した.バイポーラ型の抵抗変化が確認され,動作電圧は±1 V程度と固体電解質系のCB-RAMに比べて高く,ノイズマージンの確保に十分な値が得られた.データ保持エラーは主に低抵抗が高抵抗に変化することで生じることから,熱拡散による金属フイラメントの断裂がエラーの主要因と考えられる.低抵抗状態の抵抗が低いほど,即ち,フィラメントの太さが太いほどエラーが起こりにくいことも示された.