著者
Tsuyoshi MATSUBA Momoko CHIBA Khongsap Akkhavong Aporn Sisuraj Yutaka INABA
出版者
The Japanese Society of Health and Human Ecology
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.255-262, 2005 (Released:2010-06-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

尿路結石症が多発するラオスにおいて,食習慣や生活習慣に関連する因子と疾患発症との関係を明らかにすることを目的に症例対照研究が行われた.尿路結石症例114名および病院ベースでマッチされていない対照97名が調査対象として選ばれた.質問紙を用いて食習慣や生活習慣に関する因子について質問され,各因子についてオッズ比が求められた.また食習慣に関しては,各々の摂取食品項目がどのような因子によって成り立っているのかを明らかにするため因子分析が用いられた.更に共分散構造分析(構造方程式)を用いて食習慣と疾患との間の関係についてモデルを構築しそれぞれの関連を明らかにした.尿路結石は病因の異なる2つのグループ,すなわち上位尿路結石および下位尿路結石に分けられる.下位尿路結石については伝統的な摂取食品項目との間に正の関連を表し,近代的な摂取食品項目との間には負の関連を示した.対照的に上位尿路結石は伝統的な食品項目よりも近代的な食品項目との問により高いパス係数が認められた.ラオスでは今後食生活の近代化によって,下位尿路結石は減少するものの上位尿路結石の罹患は上昇することが考えられる.