著者
中村 圭吾 天野 邦彦 Klement TOCKNER
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.201-214, 2006-01-30 (Released:2009-01-19)
参考文献数
64
被引用文献数
8 7

河川復元は,1990年代以降,先進国において数多く実施されるようになった.本稿では,ヨーロッパを中心として,世界の河川復元の現状を整理し,今後の河川復元にとって重要な研究分野及び日本の河川復元の課題について検討した.ヨーロッパについては,各国の特徴的な河川復元を紹介した後,河川復元の背景について考察し,頻発する洪水やEUの政策が河川復元を推進していることを説明した.アメリカは,大規模な河川復元の他にも小規模な河川復元が多数実施されており,河川復元技術のデータベースの作成も進行中であることを紹介した.また,オーストラリアや南アフリカの環境流量の研究について概説した.最後に,世界の研究の現状と日本の課題について(1)河川地形変化の捉え方,(2)流量のあり方,(3)情報の整理と分析,(4)自然再生型洪水対策の4つの観点から整理し,考察を行った.