著者
Hyun S. Lee B. Lee G. Lee E. Lim J. Kang S. Hwang W.
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.51-56, 2003-01-25
被引用文献数
1 3

今回の研究は体細胞核移植(SCNT)から排除された卵子を単為生殖化(PA)による胚の作出に利用できるかどうか評価するために行われた.成熟培養後に形態的に不良なブタ卵子がSCNTから排除され,その後様々な刺激条件下でPAに用いられた.実験の初期設定において様々な強度の電気振動(1.75,2.0もしくは2.25KV/cm,30μ秒)あるいは様々な処置時間での化学刺激(7%エタノール,5分と6-dimethylaminopurine(6-DMAP)の0,2,3,4時間暴露)を行った.2.0 KV/cmの電気刺激で8細胞期と桑実胚への発育が有意(P<0.05)に改善され,一方胚盤胞形成はエタノールと6-DMAPの4時間による化学処理によって増強された.その結果,卵子の単為生殖化は,1)適切な電気刺激(2.0KV/cm, 30μ秒),2)適切な化学刺激(エタノールと6-DMAPの4時間),3)電気刺激とその後の化学刺激,4)その逆の刺激の4つの刺激のいずれかでおこった.他方,形態が正常な卵子を対照として同様の処置を施した.卵子のタイプに関わらず,電気および化学刺激の組み合わせでは電気刺激のみに比べて着床前発育を刺激しなかった.しかし,両刺激の組み合わせはSCNTからの排除卵子の胚盤胞の細胞数をおおいに増大させ(21.9-22.9 vs 16.9細胞/1胚盤胞当り),一方そのような効果は正常卵子では見い出されなかった(22.2-23.3細胞/1胚盤胞当り).結論として,SCNTから排除されたブタ卵子はPAによって胚盤胞へ発育する能力を有していて,様々な目的でSCNTの有効性を増大させる上で貢献できる可能性を示した.電気および化学刺激の組み合わせは胚盤胞の質を増大させる良好な着床前発育率をもたらした.