著者
川田 伸一郎 安田 雅俊 篠原 明男 Lim Boo Liat
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.65-74, 2008
被引用文献数
1

半島マレーシア産のモグラはEuroscaptor属の遠隔地個体群として1940年に記載された.原記載以来,本地域個体群はヒマラヤやタイ国に生息する種の亜種とされるのが一般的で,独立種としての扱いはなされていない.近年発表された形態,核型,分子系統の成果は,半島マレーシア産のモグラが明らかにEuroscaptor属の他種とは異なることを示唆している.本研究では,半島マレーシア産のモグラに関する詳細な形態的記載を行った.半島マレーシアにおいてモグラの主な生息地とされる茶畑の由来に関しても考察を加え,本地域個体群がEuroscaptor属の他種とは明確に異なる形態的特徴を持つ,固有種として位置づけられることを示した.