著者
Yukinori SATO Masako TAKADA Shun NOGUCHI
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.377-380, 1991-04-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
12
被引用文献数
1

ドウの一つの基本配合を中心に, 各成分の配合量を変えてドーナツを調製し, ドーナツの脱水量と吸油量とに及ぼす配合成分の影響を求めた.その結果, 次のことが明らかになった.(1) 油の添加量を変えても, ドーナツの脱脂乾燥物あたりの脱水量と吸油量とはほぼ一定であった.(2) 水の添加量が少なくなると脱水量はやや増大し, 吸油量も明らかに増大する.これは水が減少するとドウの硬化が起こり, これがドーナツにひびを生じさせるためと考えられた.(3) ドーナツは大きい方が脱水量も吸油量も少なく, 水や油の移行には表面積が関与しており, 比表面積の大きい方が脱水量, 吸油量ともに大きくなることがわかった.(4) 砂糖の量を増すと吸油量は明らかに増大するが, 脱水量にはあまり変化がなかった.(5) 卵の量が増すと, 脱水量が減じ, 吸油量が増す傾向がみられた.これらの知見からドーナツ調製時の水や油の移行には表面積が大きく影響し, 材料配合はドーナツの組織に変化を与えることで水や油の移行に関与し, またひびの生成は脱水量, 吸油量を大きく支配することが推定された.