著者
Toshiko KIRIBUCHI Kikue KUBOTA
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.418-422, 1976-09-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2

1) 甘藷の加熱調理 (焙焼, 電子レンジ) の際の糊化度, β-アミラーゼ活性および生成糖量の関係をしらべた.2) 焼きいもの場合, 電子レンジ加熱に比べ糖は約 2倍生成された.3) 加熱によりβ-アミラーゼは時間とともに失活していくが, 焙焼の場合徐々に失活し90分で数%の活性が残っていた. 電子レンジ加熱の場合は急速に失活し90秒では完全に失活した.4) 焙焼の場合60分 (いも中心部の温度78℃) でほとんど完全に糊化していてこの時糖の生成量は著しく増加した.5) 電子レンジの場合調理時間が非常に短いため糊化が十分に行われたころにはβ-アミラーゼがほとんど失活してしまっていて糖の生成量は少なかった.6) 加熱により糊化されたデンプンにβ-アミラーゼが作用してマルトースが生成された.
著者
Fumiko NAITO Setsuko TAKAHASHI Yukinori SATO Shun NOGUCHI Hiroshi NAITO Tadayoshi TANAKA
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.153-159, 1996-02-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
9
被引用文献数
2

真空調理法によるイカ肉の物性および食味特性を通常調理法と比較し, 真空調理については加熱温度や加熱時間の影響を物性, クッキングロスおよびスペースロス, 肉中のプロトン緩和曲線から検討し, 官能評価との関連性をみた.結果は次の通りである.(1) 真空調理時の加熱温度は40, 50, 60, 70および80℃について検討したところ, 温度の上昇に伴うイカ肉の硬さは40, 50, 60℃と上昇するに従い軟らかくなり, 60℃で最も軟らかい値を示した.さらに60℃を越すと加熱温度の上昇とともに硬くなることが認められた.クッキングロスは温度の上昇に伴い大となった.(2) イカ肉の真空調理の加熱時間の影響を20分間から50分間加熱について比較したところ, その差は認められなかった.(3) イカ肉中の水の動きの変化は60℃付近から起こり, 水分含量の減少や緩和時間丁2値の上昇は70℃加熱の肉に認められた.(4) 官能評価においては外観や食感に関する食味特性および嗜好について検討したが, 60℃および80℃加熱はともに好まれない傾向を示し, 70℃-30分間加熱により嗜好性の向上が認められた.(5) 以上の結果から, イカ肉の真空調理に適した加熱温度は約70℃であり, 加熱時間は20~30分間が適当と考えられた.(6) 真空調理法によりイカ飯を調製したところ, 煮込み調理に比べて官能評価の食感の項目でより好まれる傾向を示した.また調理操作の面では加熱中の攪拌が不必要であり, 少量の煮汁で加熱が可能であるなどの利点が認められた.
著者
Yukinori SATO Masako TAKADA Shun NOGUCHI
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.377-380, 1991-04-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
12
被引用文献数
1

ドウの一つの基本配合を中心に, 各成分の配合量を変えてドーナツを調製し, ドーナツの脱水量と吸油量とに及ぼす配合成分の影響を求めた.その結果, 次のことが明らかになった.(1) 油の添加量を変えても, ドーナツの脱脂乾燥物あたりの脱水量と吸油量とはほぼ一定であった.(2) 水の添加量が少なくなると脱水量はやや増大し, 吸油量も明らかに増大する.これは水が減少するとドウの硬化が起こり, これがドーナツにひびを生じさせるためと考えられた.(3) ドーナツは大きい方が脱水量も吸油量も少なく, 水や油の移行には表面積が関与しており, 比表面積の大きい方が脱水量, 吸油量ともに大きくなることがわかった.(4) 砂糖の量を増すと吸油量は明らかに増大するが, 脱水量にはあまり変化がなかった.(5) 卵の量が増すと, 脱水量が減じ, 吸油量が増す傾向がみられた.これらの知見からドーナツ調製時の水や油の移行には表面積が大きく影響し, 材料配合はドーナツの組織に変化を与えることで水や油の移行に関与し, またひびの生成は脱水量, 吸油量を大きく支配することが推定された.
著者
Michiko EGO Chuichi TSUTSUMI Taro NAGAHARA
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.511-514, 1976-10-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
9
被引用文献数
1

1) キャベツをせん切り水浸することにより, P, Na, K, Mgなどは約10%が失われ, Caは溶出しにくいことが認められた. また水浸5分で溶出すべき無機成分の大部分が溶出した.2) ほうれん草はゆでることにより脱イオン水ゆで, 水道水ゆでにおいてCaの溶出率がそれぞれ14%と 8%と最も溶出されにくく, 一方Kはどちらでゆでてもほぼ60%という大きな溶出を示した. Fe, P, Mg, Cu, Zn などの溶出はほぼ中間に位置した.キャベツは脱イオン水あるいは水道水で4分ゆでたとき, 水道水ゆでは全体に溶出率が低いが, Fe, Caが溶出しにくく, P, Mgなどはほぼ30%溶出した. Kはいずれでゆでても30~40%が溶出した. 30分ゆでた場合は, 4分ゆでに比べ溶出率が大となり, とくにKは約 70%が溶出した. 大切りゆでと短冊切りによる溶出率の差は, ほとんど認められなかった.
著者
Michiko EGO Chuichi TSUTSUMI Taro NAGAHARA
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.26, no.7, pp.540-543, 1975-10-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1

1) パセリの無機成分のうち, Fe, Cu, Znは, 水洗時に40~ 50%流出し, ついで水洗い試料をみじん切り水浸したのちもほぼ同様の流出が認められ, このことは付着物の脱着によるのではないかと推論された.2) パセリをみじん切り水浸したさい, P, Ca, Na, Mgなどは溶出しにくいことが認められた. 水道水処理した場合は脱イオン水処理に比べて, Ca, Na, Mg, Znなどの残存量がやや多いことが認められた. Kはいずれにおいても約20%失われた. また水浸5分で溶出すべき無機成分の大部分が溶出した.
著者
Hideo MOROOKA Mariko UEMATSU
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.104-110, 1981-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
3

This paper aims to clarify the properties of some factors relating to Shari Hand Value of woven fabrics which is one of good feelings for summer wear in Japan.The results are obtained as follows : 1) The rustring sound of high Shari Hand Value (8-10) have special frequency response, that is, the sound pressure within 1 kHz have about 70-90 dB, among from 1 kHz to about 6 kHz do below about 50 dB and among from about 6 kHz to 10 kHz do 50-60 dB, and it is experimentally clarified that the high sound pressure within 1 kHz results chiefly from the yarn (high twisted one) and the one over 1 kHz results from the fabric's construction.2) In this experiments of the frictional property of fabric-to-fabric, the mean frictional coefficient μ and the variation of frictional coefficient μcv, could not be recognized to be closely correlated to Shari Hand Value.3) Fabrics of high Shari Hand Value (6-10) have special constructions, that is, high twisted yarn such as 13-35 turn/cm in warp and 13-27 turn/cm in weft, yarn density such as 35-60 picks/cm and 35-50 ends/cm, and the crimp ratio such as 8-16% in warp and 6-18% in weft are used.
著者
Sumiko KUYAMA Toshiko FUJII
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.195-200, 1989-03-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
12

小麦粉48g, ショ糖28g, ショートニング 14g, 水10gを基本組成とするいわゆるシュガースナップクッキーを調製した.この配合中のショ糖の全量を乳糖や海砂におきかえたモデル組成のドウについて, ドウの性状とそれらの焼成過程における変化との関連性について研究した.乳糖を用いたドウ (B), 海砂を用いたドウ (C) は, それらのハードネスがショ糖を用いたドウ (A) のハードネスとほぼ同一の1,200gになるように水を調節した.1) B, Cのドウをミキソグラフによって測定すると, 一定の値を示す硬粘度が測定されたが, Aのドウは, ほとんどの値が低い値にとどまった.2) 焼成中のAのドウは焼成開始3分で最大膨脹したが, ドウ表面に生じたクラックより水蒸気がさかんに抜け出し収縮した.B, Cのドウは焼成開始4.5分間まで膨脹のみを続け, 内部に空洞を作りそのまま固定化した.3) 真空処理による膨脹率はAのドウでは, 焼成開始すぐに最大値 (250%) に達し, およそ60秒間その値を持続した.B, Cのドウは, 同様に最大値を示したがその値はすぐに低下した.以上のモデル実験により, クッキードウに用いられているショ糖は高い溶解度により, まずショ糖の溶解が先行し, これによって小麦粉の水和をさまたげ, シュガースナップクッキーの焼成のさいの特徴ある膨脹と収縮に関与し, 表面のクラックを支配することが明らかとなった.これに反し, Bのドウの乳糖は溶解性が低く, Cの海砂はまったく溶解しないために, 小麦粉の水和が先行すると考えられる.
著者
Keiko SHIBATA Yasuyo YASUHARA
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.213-220, 1996-03-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
20
被引用文献数
1

凍結牛肉の解凍後の熟成が食味に及ぼす影響とその有用性を検討するため, 試料に牛胸最長筋を用いて物理・化学的測定並びに官能評価を行った.試料は解凍後, 0℃で0, 2, 5, 10日間熟成したもので, 以下のような結果が得られた.(1) 解凍後の熟成は保水性を向上させ, 調理損失を減少させ, 多汁性を向上させた.(2) 熟成により遊離アミノ酸は増加した.(3) 勇断値・圧縮値は熟成により明らかに減少した.さらに筋繊維構造の脆弱化の傾向がみられた.(4) 官能検査は解凍後の熟成によりテクスチャーや総合評価が向上する事を示した.しかし, 解凍後の熟成5日と10日に有意差は見られなかった.結果は, 調理前に解凍後の熟成を行うことは牛肉の食味を向上させ, その熟成期間は最低5日でよいことを示した.解凍後の熟成は, 遊離アミノ酸・勇断値・圧縮値にみられるように標準試料 (凍結させず, 0℃で熟成したもの) よりも熟成が速い傾向がみられた.
著者
Teruko OHCHI
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
Journal of Home Economics of Japan (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.167-175, 1983-03-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7

スカートが歩行中に帯電のために足にまつわりつくことは不快を感ずるばかりでなく, 外観上も好ましくない.これを防止するための被服製作上の問題点を検討する目的で, 種々のスカートを製作して歩行中の帯電電位を測定し, 次の結論を得た.1) スカートの種類の影響歩行中のスカートの裾付近の表面の帯電電位は, 側面と前面が後面に比べて増え方が速く, 平衡帯電電位も高くなるが, 裾幅が狭いものや, ひだがあるものは, 裾幅が広いものや, 裾幅は狭くても歩行中に裾が割れるものよりも帯電電位の増え方が速く, 平衡帯電電位も高くなる.また, 裾回り寸法が同寸の場合, 前にひだがあるスカートは, 前面と側面において, 後にひだがあるスカー歩行時におけるスカート表面の帯電の傾向についてトよりも高くなる.2) 裏地の影響表地ポリエステルに, 裏地キュプラまたはポリエステルをつけたものは, 裏なしのものに比べて帯電電位の増え方が緩やかで, 平衡帯電電位が低い.また, ひだスカートに裏地をつける場合は, 表地と裏地とを重ね合わせて一緒にひだを折りたたむ方法が最も帯電が少ない.3) ナイロンストッキングの着用の影響ポリエステルのスカートは, ナイロンストッキング着用時には, 素足の場合に比べて帯電電位の増え方が速く, 平衡帯電電位も高くなる.4) まつわりつき状態の傾向まつわりつきが生ずる場合には, 次の傾向がある.まつわりつきは, 素足の場合には少なく, ナイロンストッキング着用時に多い。また, 前面や側面の帯電電位が高くなる種類のものは, まつわりつきが多い.裏地をつけるとまつわりつきが減少し, 裏地としては, ポリエステルよりキュプラのほうが効果的である.以上まとめると, スカートの帯電を少なくするためには, 表地と足との接触を少なくし, できるだけ摩擦を避けることが必要である, すなわち, 裾幅を広くし, ひだは後にとり, 裏地をつけたほうがよい.さらに裏地には親水性繊維を用い, ひだの部分は表地と一緒に折りたたむことがよいと考えられる.