著者
小畑 美穂 Miho Obata
出版者
同志社大学社会学会
雑誌
評論・社会科学 = Hyoron Shakaikagaku (Social Science Review) (ISSN:02862840)
巻号頁・発行日
no.136, pp.45-85, 2021-03-31

本論文は,医療ソーシャルワーク業務が,時代や政策といった社会の影響から受け身的傾向が強まり,社会へ働きかける視点が希薄化される経緯を整理し,要因との関係性を明らかにした。貧困や傷病で困窮する患者の受診・入院支援を中心に家族も含め地域社会を視野に業務を担っていた萌芽期を経て,戦後GHQ 撤退後の保健所医療社会事業後退によって地域社会への視点が希薄化した。同時に援助論の偏重傾向が強まった。創設された職能団体は,質向上と業務明確化を求めるも当初の目的から逸れ資格化運動に傾倒した。政策は少子高齢社会による財源支出抑制に対応するため基礎構造改革,早期退院,地域移行を推進した。医療ソーシャルワーク業務は,政策,組織に後進することで内向きとなり,個別に現れている生活問題を社会の問題とする視点は薄められた。論文(Article)