著者
Mohamad REZA 山本 大介 松岡 裕之
出版者
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.67-71, 2013-06-15 (Released:2014-01-08)
参考文献数
17
被引用文献数
1 3

蚊幼虫の生物学的制御のため蚊幼虫捕食性の魚を導入する方法はこれまでも実施されてきた.我々は低濃度の銅を蚊幼虫に作用させると,魚に捕食され易いことを見いだしている.メダカ(Oryzias latipes)は日本国産であるがその近縁種は世界各国に棲息している.我々は,ハマダラカ幼虫の生存能力を低下させるものの,メダカの生存には影響のない銅濃度を検討した.銅濃度0.26 ppm に暴露すると,ハマダラカ幼虫は潜水能力が減少しメダカに容易に捕食されるが,メダカはこの濃度において健常に生存できることを確かめた.このことから我々は,蚊幼虫捕食性の魚を導入することに加え,蚊幼虫の棲息する限られた場所に低濃度の銅イオンを散布することが有用であると考えている.