著者
Mori Jim 加納 靖之
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.118, no.3, pp.492-498, 2009-07-07
参考文献数
16
被引用文献数
1 9

2006年5月26日に発生したジョグジャカルタ地震による地震動が,250km離れたインドネシアのSidoarjo泥火山の噴出を誘発した可能性について検討した。この泥火山は2006年5月から噴出を続けている。泥火山の近傍で生じた流体圧変化と地震発生の時間的な一致から,地震波がこの地域の地下流体の状態に影響を与えたことが示唆される。別の同規模の地震のデータを用いて,地震波による応力変化の大きさを見積った。応力変化はごくわずか(0.005から0.010MPa)であったが,他の地域であればこの程度の応力変化でも微小地震を誘発した場合がある。地震の数分後に流体圧変化が生じたようであり,これは地下流体が地震動に対して応答したことを示していると考えられる。2006年ジョグジャカルタ地震は,Sidoarjo泥火山で小さな流体圧変化をひきおこした可能性があるが,これが泥火山の噴出開始に直接関係しているかどうか評価することは困難である。
著者
宮澤 理稔 Mori Jim
出版者
京都大学防災研究所 / Disaster Prevention Research Institute Kyoto University
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.48, pp.133-142, 2004

日本で観測された歴史震度と気象庁の震度記録を用いて,1586年から2004年9月までの最大震度を地図化した。気象庁震度で4以上を記録した全337イベントを用いた。大きな震度が記録された領域が,太平洋沿岸に見られ,これは繰り返し発生する巨大プレート間地震に対応する。また陸域に於いて,内陸活断層上の地震による,パッチ状の震度の大きな領域が見られた。過去約400年間において、日本の領域の約90%で震度5弱以上を,30%で震度6弱以上を記録した。We map the recorded maximum seismic intensity for earthquakes in Japan from 1586 to September 2004 using compiled historical records and Japan Metrological Agency (JMA) intensity data. We used a total of 337 events that had JMA intensity level of 4 or greater. The regions with high intensities are located along the Pacific coast side, reflecting the recurrent large inter-plate earthquakes. Also onshore, we find patchy high intensity regions due to earthquakes on onshore active faults. During the last 400 years, about 90% of the regions in Japan have experienced JMA intensity equal to or greater than 5- and 30% of the regions have had intensities equal to or larger than 6-.