著者
南 俊朗 大浦 洋子 Toshiro Minami Ohura Yoko 九州情報大学 経営情報学部 情報ネットワーク学科 九州情報大学 経営情報学部 情報ネットワーク学科
出版者
九州情報大学
雑誌
九州情報大学研究論集 (ISSN:13492780)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.39-50, 2012-03

大学生の学力低下が指摘されて久しい。現在入学してくる学生達は, いわゆる「ゆとり教育」世代であり, しかも大学全入時代でもある。十分な学力がなくても大学に入学できる。それを受けて, 大学はリメディアル教育を始め, 初年次教育を充実させるなど対策を充実させてきた。それにも関わらず, 教育現場での授業担当者の目から見ると学生の質が向上してきている実感がない。むしろ毎年低下してきている印象さえ受ける。その根本原因は学力以前の問題, たとえば学ぶことへの意欲, 知的好奇心, 将来へ向けた目的意識など, にあるもののように見える。本稿の目的は, このような現状認識の下,学生の目的意識や学習意欲を高め, その心的自立を促し, その結果学力も向上するというシナリオを実現することを目指して, 学生に対する学習支援のありかたを議論し, 解決策を模索することである。この目的に向かっての1 つのアプローチとして, 本稿では特にデータ解析を利用した学生理解法について議論する。このアプローチを取ることにより, データによる裏付けのある知見を得, それに基づき学生一人一人へのアドバイスのできる仕組みを確立したい。このような手法の発展は, 学生の学力不足という大問題に対する根本的な対策への第一歩となるであろう。