著者
南 俊朗 大浦 洋子
出版者
九州情報大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は授業や図書館において得ることのできるデータ解析を通じて学習者としての学生の学びへの姿勢に関するモデル構築を目的とした.通常のアンケート解析による直接的な統計解析ではなく図書館の貸出データなどから間接的な手法により潜在的な姿勢の把握手法の開発を目標とした.研究においては対象者の学習姿勢に関する情報を発見するための新しい指標の提案とデータ適用および考察を行った.その結果,図書館データ解析より,法学部系の学生が文系の典型例となっていることなどの発見があった.授業データ解析からは学ぶ内容に対する広い視野をもった学生の成績が良いことが見い出された.研究成果は国際会議・雑誌等で周知を図った.
著者
南 俊朗 大浦 洋子 Toshiro Minami Ohura Yoko 九州情報大学 経営情報学部 情報ネットワーク学科 九州情報大学 経営情報学部 情報ネットワーク学科
出版者
九州情報大学
雑誌
九州情報大学研究論集 (ISSN:13492780)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.39-50, 2012-03

大学生の学力低下が指摘されて久しい。現在入学してくる学生達は, いわゆる「ゆとり教育」世代であり, しかも大学全入時代でもある。十分な学力がなくても大学に入学できる。それを受けて, 大学はリメディアル教育を始め, 初年次教育を充実させるなど対策を充実させてきた。それにも関わらず, 教育現場での授業担当者の目から見ると学生の質が向上してきている実感がない。むしろ毎年低下してきている印象さえ受ける。その根本原因は学力以前の問題, たとえば学ぶことへの意欲, 知的好奇心, 将来へ向けた目的意識など, にあるもののように見える。本稿の目的は, このような現状認識の下,学生の目的意識や学習意欲を高め, その心的自立を促し, その結果学力も向上するというシナリオを実現することを目指して, 学生に対する学習支援のありかたを議論し, 解決策を模索することである。この目的に向かっての1 つのアプローチとして, 本稿では特にデータ解析を利用した学生理解法について議論する。このアプローチを取ることにより, データによる裏付けのある知見を得, それに基づき学生一人一人へのアドバイスのできる仕組みを確立したい。このような手法の発展は, 学生の学力不足という大問題に対する根本的な対策への第一歩となるであろう。
著者
南 俊朗 大浦 洋子
出版者
九州情報大学
雑誌
九州情報大学研究論集 (ISSN:13492780)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-16, 2013-03

多くの大学において教師達は,学ぶ意欲が十分ではない学生を相手に如何に教育効果を上げるか日々努力を続けている。学力の低い学生達を観察すると,彼らは学力以前に学ぶことへの動機づけが十分でなかったり,学ぶとはどういうことかを意識していなかったりと,学びの基礎となるべき知識に対する好奇心,ノートを作成したり復習や予習をしっかりやるなどの心の姿勢に問題がある場合が多い。本稿では,学生の学ぶ力やその基礎となる学びへの意欲などを授業データに基づいてモデル化することを試みる。授業データとしては平常点の基礎となる出席や宿題提出状況などや試験の採点データ,そして学期末に実施された学生自身と授業への評価アンケートの結果を用いる。これらのデータを基に,学生の努力・成果・評価の相互関連を分析する。個々の学生に対する主観的な印象情報に加えて,このようなデータに基づく客観的な知見を併用することによって,より精密な学生モデルを得ることができ,ひいてはより良い授業改善に繋がることが期待できる。