著者
Dzyabko Yuliya Kvasnytsia Olha Yuliya Dzyabko Olha Kvasnytsia
出版者
茨城キリスト教大学
雑誌
茨城キリスト教大学紀要. 1, 人文科学 (ISSN:13426362)
巻号頁・発行日
no.54, pp.51-65, 2020

言語と宗教はアイデンティティのマーカーであると考えられており,エスニック・アイデンティティやナショナル・アイデンティティに関する最近の研究では,宗教行動と言語使用によって,どのように移民コミュニティのアイデンティティが形成されるかが取り上げられている。歴史的にもキリスト教はウクライナの文化と伝統を支援する要因の一つであるため,本研究では,在日ウクライナ人のナショナル・アイデンティティの形成過程における宗教の役割や,言語態度への宗教の影響について考察した。初めに,ビザンティン帝国とキーウ・ルシのルーツを持つウクライナ正教会の歴史を概観し,次に,2004年に設立された日本における唯一のウクライナ正教会(St. Jude Ukrainian Orthodox Mission)の活動について説明した。最後に,在日ウクライナ人のアイデンティティのマーカーとして言語とキリスト教がどのような役割を果たしているかについて分析を行った。