著者
REZA Mohamad 山本 大介 松岡 裕之
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.217-222, 2012
被引用文献数
6

ハマダラカ (<i>Anopheles stephensi</i>) 幼虫を低濃度の銅イオンにさらし,これを死亡させる濃度を探索するため,異なる濃度の銅イオン環境で飼育し,動きが悪くなる個体,死亡する個体を観察した.幼虫を1.2 ppmまたは2.4 ppmの銅イオン環境下で飼育したところ,1週間で半数以上が死亡した.0.6 ppmの飼育では,死亡はしないものの動きが悪くなり,成長が遅くなることが観察された.捕食性の魚であるグッピーに与えたところ,0.6 ppm銅イオン処理幼虫群は,無処理幼虫群に比べ,有意に短時間でグッピーに捕食された.ヒトの飲料水に許容される銅イオン濃度の上限は1 ppmであるため,ヒトとボウフラに対する銅イオンの毒性の差を利用して新たなハマダラカ幼虫対策が期待できる.