著者
CHRIS Weaver 佐藤 容子 ROMANKO Rick 船倉 正憲
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

この二年間に渡る集中的研究では、東京農工大学の入学試験における英語個別学力検査の評価(評定)尺度の用い方について調査研究を行った。本研究プロジェクトは、多面的側面を持っており、それは三つのテーマに大別される。第一のテーマは、評価尺度のパフォーマンスの詳細な分析に関わるものであった。この調査研究は、ラッシュ測定理論を用いることにより、どのようなタイプの評価尺度に改善が必要かを同定したばかりでなく、評価尺度のパフォーマンスを改善していくための洞察をもたらした。第一の研究テーマから得られた最も重大な知見は、テスト項目が要求する諸要素と評価尺度の適合性を最大化することの重要性である。この研究プロジェクトの第二の研究テーマは、四年間の期間において本学の入学試験の英語個別学力検査で用いられた異なるタイプのテスト項目と、評価尺度との間に生じた相互作用についての調査研究に関わるものであった。このタイプの分析は、評価尺度のパフォーマンスが、いかに当該の入学試験の全般的パフォーマンスの重要な側面の多くを支える基礎となっているかという点について、数多くの洞察をもたらした。またこれに関連するもう一つの調査研究により、様々に異なる英文の設問として用いられたテスト項目の難度は、異なるタイプの評価尺度に基礎をおいており、英文の読みやすさ指数より得られた英文難度の推定値とも、また英文の語彙レベルとも、関係性がないことが見出された。この研究プロジェクトの第三のテーマは、今後の展望として、大学の管理運営に携わる者や学力検査問題作成者、またカリキュラム設計者及び教授者が、受験者に関するきわめて重要な情報を得るため、評価尺度をいかに十全に活用しうるかを説明するものである。