著者
相川 充 佐藤 正二 佐藤 容子 高山 巌
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.44-55, 1993
被引用文献数
4

The purpose of the present study was to examine the relationship between the degree of self-reported loneliness and the conversational skills observed in the interaction between strangers. The subjects were 48 university students who obtained high, medium, or low scores on the Japanese version of the UCLA Loneliness Scale. Each of these three groups included 8 males and 8 females students. The interpersonal interactions between the subjects and the confederate of the same sex were recorded by video cameras. These records were analyzed quantitatively by the raters who were blind to the subject's state of loneliness. Other raters made the qualitative analysis of the subject's conversational skills. The subjects also rated themselves and the confederate during the conversation. The results revealed some unique characteristics of highly lonely students in terms of quality but not in terms of quantity. The highly lonely students tended to lack the social skills indispensable to establish intimate interpersonal relationships. They also tended to negatively rate both themselves and the other party following interpersonal interactions.
著者
佐藤 正二 佐藤 容子 高山 巌
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.71-83, 1998
被引用文献数
1

本研究は、3名の引っ込み思案幼児の社会的スキルの長期的維持を出現させるために、(1)社会的スキル知識を促進する訓練室でのコーチング、(2)社会的スキル実行を促す自由遊び場面でのコーチング、(3)トレーナーによる構造化された遊び場面の設定、(4)訓練場面への仲間の参加とを組み合わせた社会的スキル訓練(SST)を構成した。15セッションからなるSSTを受けた訓練対象児は、訓練終了後、仲間に対する働きかけ、仲間からの働きかけ、協調的行動を増加させ、社会的孤立行動を減少させた。さらに、一年後のフォローアップ査定では、3名中2名の訓練対象児が、訓練効果を維持していることが分かった。これら2名の訓練対象児のポジティブな行動変容は、担任教師による社会的行動評定得点にも反映されており、本研究で実施されたSSTが長期的維持を効果的に促進していたことが実証された。
著者
佐藤 容子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.111-122, 2002-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究は、学級内で仲間達から拒否されている6歳の学習障害児の仲間関係を改善するために、コーチング法を用いた社会的スキル訓練を実施した。訓練前の教師評定と行動観察によると、対象児は仲間との間で、適切なやり取りが少なく、不適切(攻撃的および引っ込み思案的)なやり取りが多かった。訓練は、1回につき約60分間で、特別な訓練室の場面で5セッション、自由遊び場面で4セッション、合計9セッション行った。その結果、ターゲット児の不適切(攻撃的または引っ込み思案的)なやり取りは、教師評価と行動観察のいずれにおいても、訓練とともに減少した。好意的やり取りは行動観察においてのみ増加がみられた。エントリースキルについては明らかな訓練効果はみられなかった。また、本訓練によって、SCR尺度でみた自己コントロールが改善した。
著者
佐藤 寛 今城 知子 戸ヶ崎 泰子 石川 信一 佐藤 容子 佐藤 正二
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.111-123, 2009-03-30 (Released:2012-02-22)
参考文献数
32
被引用文献数
27 11

本研究の目的は, 学級単位で担任教師が実施することのできる, 児童の抑うつに対する認知行動療法プログラムの有効性について検討を行うことであった。小学5~6年生の児童310名を対象とし, 150名が介入群に, 160名が統制群に割り付けられた。介入群の児童に対して, 心理教育, 社会的スキル訓練, および認知再構成法を中心的な構成要素とする, 9セッション(1セッション45分)からなる学級規模の集団認知行動療法プログラムが実施された。その結果, 介入群の児童は統制群の児童に比べて抑うつ症状が大きく低減していた。さらに, 介入群の児童は抑うつ尺度のカットポイントを超える割合が低くなっていたが, 統制群ではカットポイントを超える児童の割合に変化は認められなかった。介入群の児童は, 介入目標とされた社会的スキルと認知の誤りにも介入前後で改善が見られ, 全般的な主観的学校不適応感も軽減され, 抑うつや認知行動的対処に関する一般的な理解度が高まるといった効果が認められた。最後に, 子どもの抑うつに対する心理学的介入プログラムの有効性や実用性を向上させるために必要とされる点について議論された。
著者
佐藤 寛 今城 知子 戸ヶ崎 泰子 石川 信一 佐藤 容子 佐藤 正二
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.111-123, 2009-03-30
被引用文献数
1 11

本研究の目的は,学級単位で担任教師が実施することのできる,児童の抑うつに対する認知行動療法プログラムの有効性について検討を行うことであった。小学5〜6年生の児童310名を対象とし,150名が介入群に,160名が統制群に割り付けられた。介入群の児童に対して,心理教育,社会的スキル訓練,および認知再構成法を中心的な構成要素とする,9セッション(1セッション45分)からなる学級規模の集団認知行動療法プログラムが実施された。その結果,介入群の児童は統制群の児童に比べて抑うつ症状が大きく低減していた。さらに,介入群の児童は抑うつ尺度のカットポイントを超える割合が低くなっていたが,統制群ではカットポイントを超える児童の割合に変化は認められなかった。介入群の児童は,介入目標とされた社会的スキルと認知の誤りにも介入前後で改善が見られ,全般的な主観的学校不適応感も軽減され,抑うつや認知行動的対処に関する一般的な理解度が高まるといった効果が認められた。最後に,子どもの抑うつに対する心理学的介入プログラムの有効性や実用性を向上させるために必要とされる点について議論された。
著者
佐藤 寛 石川 信一 下津 咲絵 佐藤 容子
出版者
日本児童青年精神医学会
雑誌
児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.307-317, 2009-06-01
被引用文献数
2

The three depression self rating scales, the Children's Depression Inventory(CDI), the Depression Self-Rating Scale for Children(DSRS), and the Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D), are used to screen for depression in Japanese adolescents. The present study incorporating these three scales and a semi-structured interview for determining DSM-IV depressive disorders aimed to test the ability of the scales to identify depressive disorders in a community sample of junior high school students in Japan. The receiver operating characteristics (ROC) analyses and stratum-specific likelihood ratios (SSLRs) were applied to the data sets of 286 community adolescents aged 12 to 14 years old. The ROC analyses revealed moderate convergent validity of these scales in detecting depressive disorders. The optimal cut-off points suggested by the ROC analyses were 31 for CDI, 24 for DSRS and 37 for CES-D, which were all higher than traditional cut-off points. Results of the SSLRs further demonstrated that these three scales were useful in screening for depressive disorders in Japanese community adolescents, applying the optimal cut-off points as noted.本研究の目的は,子どもの抑うつを測定する自己評価尺度の判別精度を受信者操作特性(ROC)分析と層別尤度比(SSLR)の観点から検討することであった。一般対象者の中学生286名に対し,抑うつの自己評価尺度であるCDI,DSRS,CES-Dの日本語版を実施した。加えて,DSM-IVに基づくうつ病(大うつ病,気分変調症,小うつ病)の半構造化面接を実施し,抑うつの自己評価尺度との比較を行った。本研究の対象者のうち,15名(5.2%)が面接時点で何らかのうつ病の診断に該当していた。ROC分析の結果,これらの自己評価尺度はいずれも中程度以上のうつ病の判別力を示しており,各尺度の最適なカットオフ値はそれぞれ,CDI31点,DSRS24点,CES-D37点であることが明らかにされた。SSLRを算出したところ,CDIでは0-21点で0.51,22-30点で1.57,31-54点で108.40となった。DSRSでは0-15点で0.46,16-23点で1.06,24-36点で∞であった。CES-Dでは0-15点で0.40,16-36点で1.00,37-60点で54.20であった。各尺度の日本語版における従来のカットオフ値(CDI22点,DSRS16点,CES-D16点)を満たしていた場合でも,得点が本研究のカットオフ値に満たない場合にはうつ病の検査後確率は検査前確率とほとんど変わらないことが示された。
著者
岡村 寿代 金山 元春 佐藤 正二 佐藤 容子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.233-243, 2009-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

本研究では、集団社会的スキル訓練を78名(男子43名、女子35名)の幼児に実施し、その効果を検討した。その際、訓練前の社会的スキルの程度によって社会的スキルの高群、中群、低群の3群に分類し、どのような特徴をもつ幼児に訓練効果がみられるかの検討を行った。3つの標的スキル(上手に聞く、仲間入り、あたたかい言葉かけ)を訓練するために、6〜8セッションからなる集団社会的スキル訓練が行われた。訓練は、教示、モデリング、行動リハーサル、フィードバック、強化からなるコーチング法の手続きに従って行われた。自由遊び場面へのスキルの般化を促進するために、教室でのスキル訓練と自由遊び場面でのスキル訓練を交互に繰り返す訓練プログラムを計画した。その結果、自然な自由遊び場面での行動観察のデータによれば、社会的スキル低群と中群において協調的行動の増加が認められた。また、担任教師による社会的スキル評定によれば、社会的スキル低群において、社会的スキル領域総得点および社会的働きかけスキル得点の増加が見いだされた。これらの結果から、本研究で実施された集団SSTは、社会的スキル低群だけではなく、すでに社会的スキルを獲得している中群にも有効であったことが示された。
著者
加計 佳代子 佐藤 寛 石川 信一 嶋田 洋徳 佐藤 容子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.113-125, 2008-05-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究は児童の社会的スキルと認知の誤りが社会不安に与える影響について検討することを目的とした。対象者は小学4年生から6年生1,163名(男子575名、女子588名)であった。対象者は、SocialPhobiaandAnxietyInventoryforChildren日本語版(石川ら,2008)、Children'sCognitiveErrorScale改訂版(CCES-R;佐藤ら,2004)、小学生用社会的スキル尺度(嶋田ら,1996)への回答を求められた。対象者1,163名のうち、無作為抽出された197名の児童の担任教師40名は小学生用社会的スキル尺度(嶋田ら,1996)を他者評定用に改訂したものに回答した。分析の結果、認知の誤りの高さが社会的スキルの自己評定と他者評定の差に関係していることが明らかになった。また、社会的スキルよりも認知の誤りの方が児童の社会不安に直接影響していることが示され、児童の認知変数への介入が有効である可能性が示唆された。
著者
佐藤 容子
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.111-122, 2002-09-30
被引用文献数
1

本研究は、学級内で仲間達から拒否されている6歳の学習障害児の仲間関係を改善するために、コーチング法を用いた社会的スキル訓練を実施した。訓練前の教師評定と行動観察によると、対象児は仲間との間で、適切なやり取りが少なく、不適切(攻撃的および引っ込み思案的)なやり取りが多かった。訓練は、1回につき約60分間で、特別な訓練室の場面で5セッション、自由遊び場面で4セッション、合計9セッション行った。その結果、ターゲット児の不適切(攻撃的または引っ込み思案的)なやり取りは、教師評価と行動観察のいずれにおいても、訓練とともに減少した。好意的やり取りは行動観察においてのみ増加がみられた。エントリースキルについては明らかな訓練効果はみられなかった。また、本訓練によって、SCR尺度でみた自己コントロールが改善した。
著者
佐藤 容子
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

まず、宮崎県内でのLD児についての理解の浸透を図って、学校単位での講義や全県規模での教員対象の講義を行った。同じ教員に複数回の講義をした。また、保護者にも、地域ごとに、LDについての講話を行った。その上で、公立の大規模小学校1校と中規模小学校3校(児童数合計2,230名)に対して、PRSを用いたLD児のスクリーニングを行った。抽出された児童にWISC-III、K-ABC、DAMなどの検査を行い、67名のLD児が確認された。出現率は約3%であった。次に、これらのLD児について、彼らの学級での仲間関係と適応感を査定するために、自己報告による孤独感尺度、社会的コンピテンス尺度、社会的スキル尺度、そして、学級における人気投票を行った。また、担任教師には、子どもの社会的スキルと学校への適応状況について評価してもらった。その結果、LD児は健常児に比べて孤独感が強く、社会的コンピテンスは低く、向社会的スキルが少なく、外面化問題行動と内面化問題行動が多かった。仲間からの人気度も明らかに低かった。教師評価でも、LD児の社会的スキルは低く、学校への適応度も低かった。そこで、小学校2年生と3年生の学習障害児をターゲットにして、3週間にわたって、文脈論モデルに基づいて、学校ベースのソーシャルスキル・トレーニングを実施した。ターゲット・スキルは、「上手な聞き方」、「仲間への言葉かけ」、「集団活動への入り方」であった。トレーニングの結果、ターゲット児だけでなく、学級の仲間達も、孤独感と外面化問題行動、内面化問題行動は低下し、向社会的スキルが増加した。さらに、トレーニングの維持効果をみるために、1年後に再び、ベースライン時と同じ査定を行った。その結果、トレーニング効果は比較的よく維持されていることが明らかになった。
著者
磯部 美良 佐藤 正二 佐藤 容子 岡安 孝弘
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.105-115, 2006-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
4

本研究の目的は、児童の社会的スキルと問題行動を測定するための教師評定尺度を作成することであった。公立小学校65学級の担任教師に対して、担任する学級の全児童(小学校1〜6年生、計1,991名)の行動評定を依頼した。その結果、社会的スキル領域では5因子25項目(働きかけ・学業・自己コントロール・仲間強化・規律性)、問題行動領域では2因子12項目(外面化行動問題・内面化行動問題)が見いだされた。また、良好な内的整合性と構成概念妥当性が確認された。最後に、社会的スキルの性差や学年差、社会的スキル訓練の効果査定の測度としての有用性が論じられた。
著者
後藤 吉道 佐藤 正二 佐藤 容子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.15-24, 2000-03-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
8

本研究では、集団SSTを通して学級内の仲間関係が改善されるかどうかを検討するために、小学2年生の児童を対象にして学級を単位とした3セッションからなる集団SSTが行われた。標的スキルは、適切な働きかけと応答であった。訓練は、教示、モデリング、行動リハーサル、フィードバック、強化からなるコーチング法の手続きに従って行われた。その結果、訓練群の児童は、統制群の児童よりも訓練前から訓練後にかけて、社会的スキル得点が有意に増加し、引っ込み思案得点が有意に減少した。また教師による社会的スキル評定においても、訓練群の得点が訓練後に有意に増加していることが確かめられた。さらに、好意性指名得点は、訓練群のみ訓練後に得点の増加が認められた。これらの結果から、集団SSTは、社会的スキルの獲得を促進するばかりでなく、仲間に対するポジティブな見方を高めることが明らかにされたといえよう。
著者
岡島 純子 佐藤 容子 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.1-11, 2011-01-31 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、幼児を持つ母親の自動思考を測定する育児自動思考尺度(ATQ-CR)を開発し、ストレス反応との関連について検討することであった。予備調査1にて、育児ストレス場面を抽出し、予備調査2にて、四つの育児ストレス場面、78の自動思考項目を抽出した。本調査では、探索的因子分析、高次因子分析を行い、ネガティブ思考29項目、ポジティブ思考14項目が抽出された。ATQ-CRの内的整合性は高く(ネガティブ思考因子α=.90、ポジティブ思考因子α=.76)、妥当性は、内容妥当性と基準関連妥当性の観点から確認された。SOMモデルに基づき、自動思考のバランスとストレス反応の関連性について検討した結果、ネガティブ寄り群、中立群のほうがポジティブ寄り群よりもストレス反応が有意に高かった。本研究の結果から、育児中の母親に対して自動思考に焦点を当てたストレスマネジメント介入の必要性が示唆された。
著者
佐藤 容子
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

アイルランドの詩人・劇作家・神秘家であるウィリアム・バトラー・イェイツの超自然演劇における表象構造を以下の観点から多角的に分析した。すなわち、イェイツが体系的に用いる頭韻によるサウンド・シンボリズム、アイルランドのフォークロアと溶け合ったスピリチュアリズムの要素、さらに日本の能狂言との接触という観点である。劇作としては、イェイツのクフーリンサイクルの最後の作品となる『クフーリンの死』を取り上げて論じるとともに、『鷹の泉』と『猫と月』について、能「養老」及び狂言「不聞座頭」との比較を行った。
著者
佐藤 容子
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

アイルランドの詩人・劇作家・神秘家であるウィリアム・バトラー・イェイツの夢幻劇における表象構造を以下の観点から多角的に分析した。すなわちイェイツが体系的に用いる頭韻によるサウンド・シンボリズム、アイルランドのフォークロアと溶け合ったスピリチュアリズムの要素、さらに日本の能との接触という観点である。劇作としては『鷹の泉』、『骨の夢』、『煉獄』を取り上げ、能『景清』、『熊坂』、『錦木』、『求塚』との関連性を明らかにした。
著者
CHRIS Weaver 佐藤 容子 ROMANKO Rick 船倉 正憲
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

この二年間に渡る集中的研究では、東京農工大学の入学試験における英語個別学力検査の評価(評定)尺度の用い方について調査研究を行った。本研究プロジェクトは、多面的側面を持っており、それは三つのテーマに大別される。第一のテーマは、評価尺度のパフォーマンスの詳細な分析に関わるものであった。この調査研究は、ラッシュ測定理論を用いることにより、どのようなタイプの評価尺度に改善が必要かを同定したばかりでなく、評価尺度のパフォーマンスを改善していくための洞察をもたらした。第一の研究テーマから得られた最も重大な知見は、テスト項目が要求する諸要素と評価尺度の適合性を最大化することの重要性である。この研究プロジェクトの第二の研究テーマは、四年間の期間において本学の入学試験の英語個別学力検査で用いられた異なるタイプのテスト項目と、評価尺度との間に生じた相互作用についての調査研究に関わるものであった。このタイプの分析は、評価尺度のパフォーマンスが、いかに当該の入学試験の全般的パフォーマンスの重要な側面の多くを支える基礎となっているかという点について、数多くの洞察をもたらした。またこれに関連するもう一つの調査研究により、様々に異なる英文の設問として用いられたテスト項目の難度は、異なるタイプの評価尺度に基礎をおいており、英文の読みやすさ指数より得られた英文難度の推定値とも、また英文の語彙レベルとも、関係性がないことが見出された。この研究プロジェクトの第三のテーマは、今後の展望として、大学の管理運営に携わる者や学力検査問題作成者、またカリキュラム設計者及び教授者が、受験者に関するきわめて重要な情報を得るため、評価尺度をいかに十全に活用しうるかを説明するものである。