著者
澁澤 栄 ROY Swapan Kumar
出版者
東京農工大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は,試作中のリアルタイム土中光センサーを用いて複数ほ場における土壌分光反射スペクトルを収集し,地力推定アルゴリズムと精密な土壌マップの作成,及び作物生育・収量マップと合わせて,投入量削減・品質向上のための土壌管理モデルを提案することにある。平成15年度には,すでに収集してあるマレーシアの大規模水田における土壌マップデータと収量マップデータを用いてマネジメントユニットマップを作成し,土壌窒素マップによる収量マップ推定アルゴリズムと少数収量データより水田全体の収量マップ推定アルゴリズムを用い,新たに土壌管理に関する短期的処方箋(可変施肥)と長期的処方箋(土壌改良)を区別して提案した。カリ分布と連動したコクリーギングによる収量分布推定を行い,推定精度の若干の向上が得られた。これらの成果は,精密農法ヨーロッパ会議等で発表したほか,農業機械学会誌へ論文として投稿中である。ArcViewを基本にしたGISシステムを用意し,データベース蓄積を開始した。特に,東京農工大学付属農場の長期栽培実験畑地(クロボク土)において,リアルタイム土中光センサーで収集した土中カラー画像による画像マップデータにつき,画像テキスチャ解析を行い,化学肥料のみで管理した土壌と牛糞堆肥を用いた土壌の評価分類が可能なこと,さらには土壌有機物含量や水分分布の推定が可能なことを確認した。さらにこれらの傾向が地表面勾配と相関の高いことを見いだし,水分移動や作業管理の長期にわたる影響を受けている可能性が示唆された。以上の成果は,農業機械学会関東支部において発表したほか,学術論文として投稿準備中である。