著者
佐々木 晶 加藤 学 SELENE-B サイエンスチーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.47, 2003

月の起源・進化の解明の上で、月を構成する物質の起源の解明のために、月面での直接探査が不可欠である。理学と工学の研究者が協力して、月面での無人ローバ直接探査の検討を行ってきた。月の起源・進化の研究において、地殻形成・火成活動の初期と最終段階はまだ未解明である。そのため、クレータ中央丘の物質を直接観測することで、月の地下物質の組成を同定し、マグマオーシャンからの成層構造形成モデルに制約を与える探査、海の玄武岩火成活動の後期に進行した火山体形成を調べることで、マグマ進化の最終段階の情報得る探査が重要である。SELENE‐B 計画へのローバ搭載を目指して、シナリオ検討、科学機器開発を行っている。月の起源・進化の解明を目指して、SELENE 計画がはじまり、極軌道衛星による月全体のリモートセンシング探査が行われる。しかし、月を構成する物質がどのように形成されたのかを知るためには、月面での直接探査が不可欠である。我々は1年半前より、理学と工学の研究者が協力して、ローバを使った月面での無人直接探査の検討を行ってきた。これまでにクレータ中央丘探査による初期地殻・マントル物質の探査が重要であるという結論に達した。月の起源・進化の研究において、地殻形成・火成活動の初期と最終段階はまだ未解明である。クレータ中央丘の物質を直接観測することで、月の地下物質の組成を同定し、マグマオーシャンからの成層構造形成モデルに制約を与えることができる。月面探査で着陸船(ランダ)だけによる探査を行う場合は、表面試料の直接観察対象はアームなどを使用したとしても、周囲数 m が限界である。ローバを利用すると、広範囲の目標に対し、物質科学的特徴を知るための 1次分析、サンプルの採取が可能である。ランダのみの探査や有人探査が困難な地域(影、急傾斜地、崩壊地)の探査が可能になる。詳細分析が必要な場合は、ランダに戻り高感度・精度の分析機器を使用したり、さらにサンプルリターンを行えばよい。特にローバ・ランダの直接交信による高いデータ輸送量を保つためには、ローバの移動距離が数 100m 程度に制限されるため、ローバ・ランダの協調ミッションが現実として重要になる。いずれにせよ、月・惑星探査の将来ビジョンではサンプルリターンは重要な目標となる。その基礎技術としてローバは不可欠である。