著者
佐藤 幹哉 渡部 潤一
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.4-4, 2007

2006年、オリオン座流星群の突発出現が観測された。この出現はZHRで50を超え、また極大がおよそ4日間に渡った。母天体である1P/Halley(ハレー彗星)からのダスト・トレイルを計算したところ、-1265年、-1197年、-910年のトレイルが起因していることが判明した。また、これらのダストは、木星と6:1の平均運動共鳴にあることがわかった。
著者
湊 哲則 コラー メラニー 木村 宏 マーン イングリット 山本 哲生
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.39, 2004

太陽や他の主系列星は、ダスト円盤を伴っている。これらのダストは、太陽光による抵抗力で角運動量を失い太陽へ落ち込む(ポインティング-ローバーソン効果)。太陽光と同様に、太陽風イオンの衝突によってもダストは抵抗力を受ける。本研究では、球形ダストを仮定した、太陽風による抵抗力の研究(Minato. et al. 2004)を、より現実的なダストアグリゲイトの場合に拡張した。
著者
道上 達広
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.48-48, 2005

観測されたS型小惑星と彗星の力学的強度を、レゴリス層の厚さ、地形データ、探査機ディープインパクトによる衝突データなどを比較検討することで見積もった。その結果、S型小惑星の力学的強度は10MPa程度であることが分かった。彗星の力学的強度はそれより1桁から2桁程度弱いことが予想される。
著者
跡部 恵子 井田 茂 伊藤 孝士
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.57-57, 2003

観測限界から、これまでに発見されている系外惑星は全て巨大ガス惑星と考えられているが、地球型惑星も存在しているだろう。惑星において、生命、特に陸上生命が誕生、進化するためには、ハビタブル・ゾーン(液体の水が存在できる軌道領域)での軌道安定性に加え、惑星表面の気候が安定に保たれる必要があると考えられる。惑星自転軸傾斜角の変動は、気候に多大な影響を与える。一般的に自転軸傾斜角の変動は数度であるが、自転・軌道共鳴によって数十度に達する場合がある(Ward 1974, Laskar et al. 1993)。実際、現在火星の自転軸は共鳴の影響で十数度の変動をしており、このような大変動は惑星の居住可能性に影響を与えるであろう。<BR> 本研究では、系外惑星系のハビタブル・ゾーンにある仮想的地球型惑星の自転軸傾斜角変動について調べた。自転軸の振幅を表す解析式を用いて計算を行った結果、巨大惑星が地球型惑星の軌道をかろうじて安定に保てる場所にある場合、地球型惑星は共鳴の影響を受けやすいことがわかった。つまり、軌道的に安定であっても、自転軸傾斜角の大変動が引き起こされる可能性がある。<BR> さらに実際の系外惑星系において、仮想的地球型惑星の自転軸変動を評価した。その結果、地球型惑星が、安定軌道、かつ小さな自転軸変動を示す可能性のある系は稀であることを示唆する結果を得た。しかし、惑星の逆行自転や、近接した巨大衛星の存在は自転軸変動を抑える傾向があり、これらが陸上生命発達の鍵を握っているかもしれない。
著者
木村 真二 藤田 健太 石隈 慎一郎 白岩 真弥 豊田 英里 浦川 聖太郎 佐藤 文衛 伊藤 洋一 時政 典孝 向井 正
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.88-88, 2005

1995年に初めて我々の太陽以外の恒星の周りを回る惑星、太陽系外惑星が発見されて以来、その数は現在までに160個に達している。太陽系外惑星の検出方法はいくつかあるが代表的なものとしては、ドップラーシフト法とトランジット法がある。我々はすばる望遠鏡でのドップラーシフト法による観測から視線速度に変化の見られる天体を、西はりま60cm望遠鏡を用いて観測し、トランジットの検出を試みている。今回は、西はりまでの観測においてトランジット検出に十分な測光精度を得られたことを報告し、さらにいくつかの天体の観測・解析結果を示す。
著者
竹内 拓 Velusamy Thangasamy Lin Douglas N. C.
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.54-54, 2004

高精度位置天文学によって星のふらつきを検出することにより系外惑星を発見することが、可能となりつつある。NASAの計画する位置天文衛星(SIM)は、150pc彼方にある原始惑星さえも発見できると期待されている。しかし、原始惑星には原始惑星系円盤も伴っていると考えられ、円盤からの光が位置測定の障害となる可能性がある。円盤がどの程度の影響をもたらすか見積もり、それが無視できる程度であることを示した。
著者
小倉 尚也 中村 昭子 平田 成 三軒 一義 留岡 和重
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.103-103, 2006

南極マイクロメテオライトの80%は含水鉱物を含んでいる(Engrand and Murette, 1998).しかしながら,地球に落下した隕石の中で含水鉱物を含むものは3%程度しかない.他方,小惑星では30-40%が含水鉱物を含んでいる.このような含水鉱物の相対存在度の違いを説明するために,含水多孔質物質をターゲットとした衝突実験を行い,高速度衝突による含水鉱物の脱水がダスト形成に与える影響を調べることを研究テーマとしている.
著者
山本 真行 戸田 雅之 比嘉 義裕
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.103, 2007

しし座流星群の大出現が予測された1998年に開始された流星痕同時観測キャンペーンでは、以降の10年間に大量の流星痕画像・動画の撮影に成功し、これまで稀であった同現象の発光過程の研究チャンスを飛躍的に増大させた。10年間の節目に、これまでの流星痕研究を振り返り、明らかになった点、残された課題、今後の研究観測計画について紹介する。また高知工科大学で5年間にわたり徐々に進めてきた光学、電波、インフラサウンド等を用いた流星総合観測施設の整備の現状を紹介し、今後の流星総合観測計画について議論したい。
著者
生駒 大洋 ギオ トリスタン
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.115, 2005

太陽系の巨大氷惑星(天王星と海王星)の熱進化を議論する。既存の熱進化モデルは、初期条件として惑星が非常に低温であることを要求している。これは集積モデルと矛盾する。その原因の一つは、初期の惑星内部の温度分布を非常に単純化していることである。そこで、集積時に氷惑星に供給される熱を考慮して熱進化モデルを再構築した。
著者
吉川 真 吉光 徹雄 高木 靖彦 出村 裕英 野口 高明 宮本 英昭 川口 淳一郎 藤原 顕 安部 正真 岩田 隆浩 川勝 康弘 田中 智 森 治 矢野 創
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.7, 2006

小惑星探査機「はやぶさ」による小惑星イトカワの観測で、500m程度の小さなS型小惑星についての理解が深まったが、我々は、さらに次の小天体探査ミッションについての検討を行っている。次のミッションとしては、S型と同様に小惑星帯で主要なタイプとなっているC型小惑星の探査を行いたい。このタイプでは、有機物や水をより多く含んでいると思われており、生命前駆物質の科学としても重要である。ここでは、これまでのミッション検討結果をまとめて報告する。また、是非、多くの研究者に小天体探査に参加してもらうことを呼びかけたい。
著者
野田 寛大 花田 英夫
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.88, 2004

国立天文台RISE推進室ではSELENEの次のミッションとして月面天測望遠鏡を提案している。写真天頂儀を月面に置き、星の軌跡を撮像することにより月の回転を測り、月の内部構造を推定することが目標である。月面では熱環境が厳しいためこれまで実験等で熱の解析を行ってきた。本講演では前回の発表に引き続き計算機による熱解析の結果を発表する。
著者
荻原 正博 井田 茂 モルビデリ アレサンドロ
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.37, 2006

原始惑星同士の衝突による地球型惑星集積の最終段階を、円盤乱流トルクを考慮してN体計算した。原始惑星系円盤は磁気回転流体不安定によって乱流状態にあると考えられ、乱流による円盤ガスの密度揺らぎによって発生するランダムな重力トルクが原始惑星の軌道進化に影響を与える可能性がある。計算の結果、乱流トルクが軌道離心率を間欠的に上昇させながら軌道長半径のランダムウォークを生じさせ、惑星同士の孤立化が妨げられ衝突が増える傾向にあることが分かった。
著者
北里 宏平 安部 正真 三戸 洋之
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.114, 2004

65803 Didymos はPHAの軌道グループに属する近地球型小惑星で, 比較的探査機が到達しやすく次期小天体探査計画の候補となり得る天体である. 我々は東京大学木曽観測所の30-cm望遠鏡 (K.3T) を用いて, この小惑星の15晩のライトカーブを取得した. Didymos のライトカーブには, 周期約2.26時間のダブルピークの連続周期カーブと周期約11.90時間の減光カーブが複合しており, 主星の周りに衛星が存在することを示唆している. これらの周期と主星と衛星の直径比より, 衛星の軌道を真円と仮定して二体問題で概算すると, この小惑星のバルク密度について約2.0 g/cm<sup>3</sup> という値が得られた.
著者
阿部 新助 山本 真行 矢野 創 海老塚 昇 渡部 潤一 向井 正
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.107-107, 2006

流星や隕石が、地球大気突入によりどのような物理化学発光素過程を経ているのかは、未解明な点が多い。特に 炭素や水などのアブレーション過程を理解することは、生命起源物質の地球到来過程を解明する上でも重要である。2006年1月15日、NASAのスターダストは、直径80cmのカプセルを人工物では史上最速の12.9 km/sで地球大気に突入させた。我々は、この人工流星をNASA-DC8観測航空機から超高感度ハイビジョンカメラ(UV-II-HDTV)と500 grooves/mmの反射型対物分光器を用いて300-650nm波長領域の分光観測を行った。
著者
平田 成
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.64, 2003

月のクレーターTychoおよびKingについて,そのimpact meltの分布を画像から解析し,クレーター形成のメカニズムについて考察する
著者
荒井 朋子
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.15, 2006

本研究では、39億年前以前の月の玄武岩マグマ活動の謎に迫るため、アポロ14号角レキ岩中に見つかった最古(約42.3億年前)について詳細な鉱物研究を行った。その結果、14305玄武岩の分化傾向は地球の玄武岩マグマのカルク・アルカリトレンドに相当する。一方、若い海の玄武岩はソレアイトトレンドに相当する。これは、約42.3億年前のアポロ14号地点でのマグマ活動は、揮発性元素濃度が高い条件下で起こったこと及び39億年前前後のマグマ活動の物理的・化学的条件が異なることを示唆する。
著者
佐々木 晶 加藤 学 SELENE-B サイエンスチーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.47, 2003

月の起源・進化の解明の上で、月を構成する物質の起源の解明のために、月面での直接探査が不可欠である。理学と工学の研究者が協力して、月面での無人ローバ直接探査の検討を行ってきた。月の起源・進化の研究において、地殻形成・火成活動の初期と最終段階はまだ未解明である。そのため、クレータ中央丘の物質を直接観測することで、月の地下物質の組成を同定し、マグマオーシャンからの成層構造形成モデルに制約を与える探査、海の玄武岩火成活動の後期に進行した火山体形成を調べることで、マグマ進化の最終段階の情報得る探査が重要である。SELENE‐B 計画へのローバ搭載を目指して、シナリオ検討、科学機器開発を行っている。月の起源・進化の解明を目指して、SELENE 計画がはじまり、極軌道衛星による月全体のリモートセンシング探査が行われる。しかし、月を構成する物質がどのように形成されたのかを知るためには、月面での直接探査が不可欠である。我々は1年半前より、理学と工学の研究者が協力して、ローバを使った月面での無人直接探査の検討を行ってきた。これまでにクレータ中央丘探査による初期地殻・マントル物質の探査が重要であるという結論に達した。月の起源・進化の研究において、地殻形成・火成活動の初期と最終段階はまだ未解明である。クレータ中央丘の物質を直接観測することで、月の地下物質の組成を同定し、マグマオーシャンからの成層構造形成モデルに制約を与えることができる。月面探査で着陸船(ランダ)だけによる探査を行う場合は、表面試料の直接観察対象はアームなどを使用したとしても、周囲数 m が限界である。ローバを利用すると、広範囲の目標に対し、物質科学的特徴を知るための 1次分析、サンプルの採取が可能である。ランダのみの探査や有人探査が困難な地域(影、急傾斜地、崩壊地)の探査が可能になる。詳細分析が必要な場合は、ランダに戻り高感度・精度の分析機器を使用したり、さらにサンプルリターンを行えばよい。特にローバ・ランダの直接交信による高いデータ輸送量を保つためには、ローバの移動距離が数 100m 程度に制限されるため、ローバ・ランダの協調ミッションが現実として重要になる。いずれにせよ、月・惑星探査の将来ビジョンではサンプルリターンは重要な目標となる。その基礎技術としてローバは不可欠である。
著者
加藤 學 岡田 達明 白井 慶 山本 幸生 荒井 武彦 小川 和律 細野 梢 瀧川 覚博 セレーネXRS チーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.34-34, 2004

「セレーネ」は、高度約100kmの月極周回軌道から月面全域の探査を行う日本初の総合月ミッションである。蛍光X線分光計(XRS)は両極域を除く月面全域の主要元素組成(Mg, Al, Si, Feなど)を空間分解能約20kmで定量的に決定する。XRS観測及び他の観測機器による元素・鉱物・地形・地質構造などの観測データを相互に利用することによって、月の初期進化過程を探るのが主な科学目標である。本報告では、XRSで導入した新規技術、仕様や機能、機上データ処理方法、地上解析方法について概説する。さらに、地上試験データの特性や性能評価、今後の試験計画、打上後の観測計画について述べる。
著者
柴田 裕実 武智 誠次 大西 俊之 藤原 顕 矢野 創 グリュン エバハルト スラマ ラルフ 野上 謙一 宮地 孝 蔵座 元英 大橋 英雄 藤井 雅之 佐々木 晶 岩井 岳夫 南 繁行
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.83, 2006

現在、BepiColombo国際日欧水星探査計画が進められており、2013年に水星へ向けて打ち上げられる。惑星空間及び水星周辺のダスト計測を行うために、MMO探査機にピエゾ圧電素子を用いたダスト検出器を搭載する予定で開発を行っている。計測対象として、速度 2~60 km/s, 粒子質量 1 fg ~ 1 ngのダストを想定している。検出器はダストの計数のみでなく、ダストの飛来方向、質量、速度を計測する。加速器を用いた超高速ダスト模擬衝突実験を東大とMPI-K(ドイツ)で行い、衝突の出力波形の解析から運動量や速度を求める方式を模索している。
著者
秋澤 宏樹 菅原 賢 渡部 潤一
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.100, 2007

SWAN彗星は2006年10月末~11月初旬に6等級程度の予報を2等級上回って明るくなった。姫路市宿泊型児童館『星の子館』の15cm屈折望遠鏡(f.l.1800mm)直焦点に冷却CCDカメラSTL-1001Eを用い、2006年10月31.41-31.47日(UT)に5バンド(B,V,Rc,Ic及びノーフィルター)の彗星追尾撮像で2種類の尾を捉えた。各画像の比較から、通常は青いイオンの尾に赤の成分が含まれておりH<SUB>2</SUB>O<SUP>+</SUP>の尾と思われる。またダストの尾の形状をベッセル・ブレデキン法で計算した結果、ダストは近日点通過頃に放出されたことが解った。