著者
鈴木 大地 鎌田 安久 栗林 徹 澤村 省逸 清水 将 SUZUKI Daichi KAMADA Yasuhisa KURIBAYASHI Toru SAWAMURA Shoitsu SHIMIZU Sho
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.14, pp.171-178, 2015

現代サッカーでは、ディフェンスでも主導権を握るため、チーム全員が高いディフェンス意識を持ち、ハードワークを行うことが大切である。前線から杯プレッシャーをかけ、髙い位置でボールを奪う、相手のプレーを限定することが求められるのである。こうして、前からプレッシャーをかけに行けば、相手は手段としてロングボールを蹴ってくることが想定される。そのとき、簡単に裏をとられたり、空中戦に負け、セカンドボールが支配できなければ、当然勝つチャンスは減少する。したがって、ロングボールに対しての空中戦は試合の勝敗を分ける重要なポイントとなり、試合に勝つためには確かなポジショニングから正確なヘディングで競り合う技術が求められる。ここで育成年代のサッカーに目を向けてみると、日本サッカー協会・技術委員会の発行する「2010 U-14 指導指針」の中で、U-14年代において「ヘディング」は技術的な課題の一つとして挙げられている。具体的には、U-14年代では、①ヘディングの競り合いで、しっかり落下点に入れないため、競り合いにならないことが多いこと、②競り合う際に相手を押しのけるために「手」を使ってしまうプレーが多くみられること、③競り合いのヘディングのあと、ボールを失うことが多く、アバウトなロングボールをきっかけに相手チームに攻撃のきっかけを与えていることが課題として挙げられている。そのため、落下地点に入り、正当に競り合い、競り合いの中でも、しっかり味方にパスするようなヘディングの技術を身につけることが大事であると言われている。さらに、2012年に行われたロンドンオリンピックや国内外のユース年代の各大会でも、ロングボールに対する対応、ヘディングの技術は課題として挙げられ、日本全体で取り組まなければならない課題であると言われている。そのため、サッカーの土台の完成期であるU-15年代までに、ヘディングの正しいフォームを身に付け、良いポジショニングから空中戦に競り勝ち、味方にパスをするためのトレーニングを反復して行うことは非常に重要であると考えられる。