著者
大井 雄介 鈴木 大地
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.117-126, 2023-03-25 (Released:2023-03-15)
参考文献数
51

脊椎動物の嗅覚系は,いつ,どのように進化したのだろうか.脊椎動物に最も近縁な無脊椎動物であるホヤやナメクジウオには明確な嗅覚器が認められないため,脊椎動物の嗅覚系は脊椎動物の系統で独自に発達したと考えられる.ヤツメウナギとヌタウナギからなる円口類は,脊椎動物において初期に分岐した系統の生き残りであり,脊椎動物の初期進化を理解するうえで重要な動物群である.嗅覚受容体や嗅細胞,嗅覚回路の比較を通して,円口類と他の脊椎動物の嗅覚系の共通点と相違点が明らかとなり,ここから嗅覚系の起源と多様化が見えてくる.
著者
鈴木 大地 松葉 剛 稲葉 裕 白石 安男
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.415-426, 2006-09-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
44

目的: 近年プールを設置する自治体が増えており, 水泳や水中運動を健康づくり事業に取り入れるケースも増えている. 当研究は水泳や水中運動がどのように住民の生活習慣や健康状態に影響しているかを調べることを目的に行った. 方法: 2004年K市において健康関連イベントおよびこれまで水泳. 水中運動事業に参加している257名を対象に質問紙による調査および血圧, 内臓周囲脂肪, 血液生化学データ (血算, 肝機能, 血清脂質, 血糖) の測定を行った. 結果と考察: 対象者を運動習慣により〈水中運動群〉〈水中運動以外の運動群〉〈運動習慣のない群〉の3群に分け, 心理的要因, 食事, 血液生化学検査を含む身体的要因について分布の差について調べた. 心理的要因については, 健康状態や生活満足度, 幸福感をたずねた質問では良好であるとの回答が水中運動群および水中運動以外の運動群に多く統計学的有意差が認められた (p<0.01). また食習慣的要因では水中運動群および水中運動以外の運動群で〈塩辛い食事〉を好まない傾向が認められた (p<0.05). 血液生化学データのうちHDLコレステロールの値について水中運動群と水中運動以外の運動群, および水中運動群と運動習慣のない群の間に有意差を認め, いずれも水中運動群が高値を示した (水中運動群73.2mg/dl, 水中運動以外の運動群63.2mg/dl, 運動習慣のない群63.2mg/dl, いずれもp<0.01). その他, 収縮期血圧において同様に水中運動群と水中運動以外の運動群, および水中運動群と運動習慣のない群の間に有意差を認め, いずれも水中運動群が低値を示した (水中運動群73.3mmHg, 水中運動以外の運動群78.1mmHg, 運動習慣のない群79.4mmHg, いずれもP<0.01). また健康な生活に与える影響について他の生活習慣との関わりを知るために, 因果モデルを作成し共分散構造分析にて分析を行った. その結果, 定期的な運動習慣のなかでも水中運動が, 健康な生活との間により強い関連があることが示された.
著者
鈴木 大地 中村 雅俊 大箭 周平 青木 孝史 江玉 睦明
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.117-123, 2019-04-01 (Released:2019-03-16)
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

It is well known that eccentric exercise induces muscle damage that is characterized by a prolonged decrease in muscle strength and range of motion, development of delayed onset muscle soreness, and swelling. Therefore, the present study aimed to compare the acute effects of hold-relax stretching (HRS) with those of static stretching (SS) on muscle strength and soreness. The participants comprised 28 male volunteers randomly assigned to either the HRS group (N = 14) or the SS group (N = 14). Initially, the participants of both groups performed 60 maximal eccentric contractions of the knee extensors. Two and four days after this exercise, each group performed either HRS or SS for 60 s at a time and repeated them six times for a total of 360 s. Muscle strength and soreness during stretching and contraction were measured before and immediately after HRS and SS. The results showed that the muscle soreness observed after eccentric contraction significantly decreased immediately after both HRS and SS were performed two and four days later. In addition, there were no significant changes in muscle strength immediately after both HRS and SS were performed two and four days later. The rate of change in muscle soreness after HRS was significantly higher than that after SS two days post eccentric contractions. These results suggest that while both HRS and SS can effectively decrease muscle soreness, the effect of HRS on muscle soreness was larger than the effect of SS.
著者
鈴木 大地
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.13, 2017

<p> 平成29年3月、文部科学省は、スポーツ庁創設後初めてとなる第2期「スポーツ基本計画」を策定しました。</p><p> この第2期計画に掲げられた施策は、「~スポーツが変える。未来を創る。Enjoy Sports、 Enjoy Life~」という理念のもと、国民やスポーツ団体の活動を通じて実現される「スポーツの価値」が最大限発揮されるためのものであることに留意して策定されています。</p><p> スポーツ行政を総合的・一体的に推進するために創設されたスポーツ庁の役割は、「スポーツ参画人口」を拡大することだけではなく、他分野との連携・ 協力により、新たな課題にも取り組む中でスポーツの新たな価値の創造を支援し、それらを高め、豊かな「一億総スポーツ社会」の実現を目指すことにあります。</p><p> 例えば、スポーツは積極的に社会を変える重要な媒体となり得るものであり、スポーツを通じて障害者、女性、子供、高齢者等の社会参画が促され、周囲の人々の意識改革が図られることで「共生社会」の実現につながっていきます。</p><p> また、第2期計画では、スポーツを通じた健康増進や地域活性化、国際交流及び協力の拡充、スポーツビジネスの拡大などにも取り組むこととしています。</p><p> 2020年東京大会等を好機としてスポーツの価値を飛躍的に高めるとともに、大会後のレガシーとして確実に引き継がれ、持続させるためには、スポーツに関わる全ての人々が一丸となって取り組むことが必要です。</p><p> この講演では、国民、スポーツ団体、民間事業者、地方公共団体、国等が一体となってスポーツ立国を実現できるよう、第2期計画に込められたスポーツ庁のビジョンと施策を解説しながら、日本体育学会を中心に、それぞれの団体に期待される役割についての意見を申し上げます。</p>
著者
鈴木 大地 鎌田 安久 栗林 徹 澤村 省逸 清水 将 SUZUKI Daichi KAMADA Yasuhisa KURIBAYASHI Toru SAWAMURA Shoitsu SHIMIZU Sho
出版者
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13472216)
巻号頁・発行日
no.14, pp.171-178, 2015

現代サッカーでは、ディフェンスでも主導権を握るため、チーム全員が高いディフェンス意識を持ち、ハードワークを行うことが大切である。前線から杯プレッシャーをかけ、髙い位置でボールを奪う、相手のプレーを限定することが求められるのである。こうして、前からプレッシャーをかけに行けば、相手は手段としてロングボールを蹴ってくることが想定される。そのとき、簡単に裏をとられたり、空中戦に負け、セカンドボールが支配できなければ、当然勝つチャンスは減少する。したがって、ロングボールに対しての空中戦は試合の勝敗を分ける重要なポイントとなり、試合に勝つためには確かなポジショニングから正確なヘディングで競り合う技術が求められる。ここで育成年代のサッカーに目を向けてみると、日本サッカー協会・技術委員会の発行する「2010 U-14 指導指針」の中で、U-14年代において「ヘディング」は技術的な課題の一つとして挙げられている。具体的には、U-14年代では、①ヘディングの競り合いで、しっかり落下点に入れないため、競り合いにならないことが多いこと、②競り合う際に相手を押しのけるために「手」を使ってしまうプレーが多くみられること、③競り合いのヘディングのあと、ボールを失うことが多く、アバウトなロングボールをきっかけに相手チームに攻撃のきっかけを与えていることが課題として挙げられている。そのため、落下地点に入り、正当に競り合い、競り合いの中でも、しっかり味方にパスするようなヘディングの技術を身につけることが大事であると言われている。さらに、2012年に行われたロンドンオリンピックや国内外のユース年代の各大会でも、ロングボールに対する対応、ヘディングの技術は課題として挙げられ、日本全体で取り組まなければならない課題であると言われている。そのため、サッカーの土台の完成期であるU-15年代までに、ヘディングの正しいフォームを身に付け、良いポジショニングから空中戦に競り勝ち、味方にパスをするためのトレーニングを反復して行うことは非常に重要であると考えられる。
著者
鈴木 大地
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.308-311, 2003-09-30
参考文献数
4
著者
青木 孝史 中村 雅俊 鈴木 大地 大箭 周平 江玉 睦明
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
pp.18001, (Released:2018-11-06)
参考文献数
24

筋力トレーニングは,筋力低下や筋萎縮の処方として用いられる手技である.先行研究において,皮膚冷刺激下での低負荷筋力トレーニングでは,神経適応により筋力が増加することが報告されている.しかし,皮膚冷刺激下での低負荷筋力トレーニングが筋厚に及ぼす影響は不明である.本研究の目的は,上腕三頭筋を対象に,皮膚冷刺激下での低負荷筋力トレーニングが筋力および筋厚に与える影響を明らかにすることである.対象は,12名の健常若年男性の両腕とし,無作為に皮膚冷刺激下での低負荷筋力トレーニングを行う側と低負荷筋力トレーニングのみを行う側に群分けを行った.筋力トレーニングは1RMの50%の重量を用いて,週3回8週間の介入を行った.筋力トレーニング介入前後に1RMと上腕三頭筋の筋厚を測定した.その結果,有意な交互作用は認められなかったが,皮膚冷刺激の有無に関係なく,両介入側ともに8週間の介入後に有意な1RMおよび筋厚の増加が認められた.この結果より,皮膚冷却による筋力トレーニングとの相乗効果は認められないことが明らかになった.
著者
上田 高徳 佐藤 亘 鈴木 大地 打田 研二 森本 浩介 秋岡 明香 山名 早人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.85-97, 2013-03-29

Webクローラは,クローリング済みURLの検出やWebサーバに対する連続アクセス防止といった処理を実行しながらデータ収集を行う必要がある.Web空間に存在する大量のURLに対して高速な収集を実現するために並列分散クローリングが求められるが,省資源でのクローリングを行うためにも,処理の時間計算量と空間計算量の削減に加え,計算機間の負荷分散も必要である.本論文で提案するWebクローラは,クローリング処理をProducer-Consumer型のモジュール群で実行することにより,これまでの被クロールWebサイト単位での負荷分散でなく,Webクローラを構成するモジュール単位での負荷分散を実現する.つまり,Webクローラを構成する各モジュールが必要とする計算機資源に応じた分散処理が可能になり,計算機間での計算負荷やメモリ使用量の偏りを改善することができる.また,ホスト名やURLを管理するモジュールは時間計算量と空間計算量に優れたデータ構造を利用して構成されており,大規模なクローリングが省資源で可能になる.Web crawlers must collect Web data while performing tasks such as detecting crawled URLs and preventing consecutive accesses to a particular Web server. Parallel-distributed crawling is carried out at a high speed for the enormous number of URLs existing on the Web. However, in order to crawl efficiently, a crawler must realize load balancing between computers in addition to reducing time and space complexities in the crawling process. The Web crawler proposed in this paper crawls the Web using producer-consumer modules, which compose the crawler, and it realizes load balancing per module and not per crawled Web site. In other words, it realizes load balancing that is appropriate to certain computer resources necessary for the modules that compose the Web crawler; in this way, it improves biases in computation loads and memory utilization between computers. Moreover, the crawler is able to crawl the Web on a large scale while conserving resources, because the modules that manage host names or URLs are implemented by data structures that are temporally and spatially efficient.