著者
生駒 忍 Shinobu Ikoma
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = The journal of Kyoei University (ISSN:1880859X)
巻号頁・発行日
no.13, pp.263-273, 2015

教員採用試験の教職教養を構成する分野のひとつに、教育心理がある。この教育心理は、今日の学術的な教育心理学と類似してはいるが、同一ではない。本稿はそこに含まれる、心理学の中では長い歴史を持つ分野である記憶について、近年の出題動向を検討した。平成23 年から25 年の3 年間における、教育心理分野の記憶に関する出題を収集した。これを出題年ごとに並べ、それぞれに指摘を加えた。出題内容としては、Ebbinghaus,H. およびその忘却曲線と、レミニッセンスとが多いことが明らかになった。これは、教育心理が「古典」となっていることを表している。また、表現上の不備等も多く見られた。このような傾向は、記憶に限ったことではないとも考えられ、今後検討を広げることが求められる。